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前進か―、後退か―、緒方カープの敗因と3連覇への『課題』

2017年11月8日

前進か―、後退か―、緒方カープの敗因と、3連覇への『課題』

37年ぶりのセ・リーグ連覇の感動が、どこか遠くへ行ってしまった感がある。

日本シリーズが終了し、レギュラーシーズンで94勝と圧倒的な強さを見せた福岡ソフトバンクが2年ぶり8度目の日本一に輝いた。しかし、その舞台にセ・リーグで88勝を挙げた広島の姿はなかった。

シーズンで14.5ゲーム差を付けた3位の横浜DeNAに、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージで“まさか”の敗退。

今季も勝率7割超と神がかり的な強さを見せたマツダスタジアムで4連敗を喫しての敗退は、衝撃を超えてむしろ拍子抜けとも言える結末だった。昨年よりも1段階早いステージでの敗退に、最強赤ヘル軍団の再来、新たな黄金時代の到来などと色めき立った周囲も、一気にトーンダウンした感が否めない。果たして、その敗因はどこにあったのか。

空白16日間の影響

制度の問題、と言えば負け惜しみにしかならないが、言わざるを得ない部分もある。一発勝負のCS制度そのものの問題というよりは、日程的な問題だ。

広島がリーグ連覇を達成したのが9月18日。ここから10月1日のシーズン最終戦まで約2週間もあったが、これは独走優勝ゆえの致し方ない。問題はその後のCSファイナルまでの期間、18日の開幕まで実に16日間の空白があったこと。

地元開催試合での雨天中止が少なく、12球団でもっとも早い全日程終了という事情があったとは言え、この長過ぎる空白期間は異常と言うしかない。その後のCSファーストステージでの雨天試合決行問題などを考えても、日程面では再考の余地ありと言わざるを得ない。

この期間中に、広島はフェニックス・リーグへの主力選手の派遣を行わず、対外的な実戦は、地元の社会人チームとの3試合だけだった。この3試合で計34得点を奪い、丸佳浩が3試合連続本塁打を放つなど、打線は好調を維持していると思われた。投手陣も薮田和樹、野村祐輔、ジョンソンらが軒並み好投し、長いブランクへの不安を一蹴したかと思われた。

しかし、いざ本番を迎えると、打線は濱口遥大や井納翔一、リリーフで登場した今永昇太ら、DeNA投手陣の力のある速球に自慢の打線が封じられ、野村や薮田もファーストステージ突破で波に乗ったベイ打線を封じることができなかった。

それ以外でも、攻守に渡ってシーズン中にはあまり見られないミスが目立つなど、微妙な実戦感覚のズレを感じざるを得ないシーンが相次いだ。

離脱と疲労、流れをつかめなかった采配

戦力面や采配面にも敗因はあった。シーズン最終戦に敗れ、12勝13敗と唯一の負け越しチームとなったDeNAには、8月に敵地で3試合連続サヨナラ負けを喫するなど、短期決戦の勝負、相性に不安視する声も少なくなった。

そして戦力面での最大の痛手は、今季4番打者に定着した鈴木誠也の離脱が、やはり痛かった。代役の松山竜平が9月に月間成績が打率4割2分6厘、5本塁打と大活躍したが、CSでは2試合無安打に終わった後に4番を外れ、計5試合で放った安打は3本だけだった。

さらにチームの看板だった菊池涼介、丸も打率2割台にとどまり、特に菊池は3月のWBC出場からの長いシーズンの中で疲労困憊なのは目に見えてわかるほどだった。

投手陣も、特に先発陣はシーズン半ばから、少しずつだが歯車の狂いを見せ始めていた。8月の先発防御率4.70が示すように、この時期から先発陣の早い回での降板が目立ち、リリーフ陣に負担がかかる状況が続いた。

前半戦を引っ張った薮田や岡田明丈はシーズンを通して活躍した経験がなく、頼みのジョンソンと野村は最後までエースとしての存在感を発揮できなかった。

また、昨年の日本シリーズで指摘された緒方孝市監督の短期決戦での采配が、今年も振るわなかったのも敗因のひとつと言わざるを得ない。

昨年は栗山英樹監督、今年はラミレス監督と、対峙した相手監督の臨機応変な采配が当たりまくったこともあり、余計に緒方監督の采配面がクローズアップされる部分はあったにせよ、スタメン起用や代打選手の選択などが、ことごとく裏目に出たことは否めない。

故障者が続出するなどの致し方ない事情もあったにせよ、不在の選手をカバーしたシーズン中の戦いぶりがCSでは見られなかった。何より首脳陣の「普段着の野球を貫く」という姿勢は、言い換えれば融通が利かないということでもあり、“流れ”が重要な短期決戦に対応できず、昨年の日本シリーズと同じ轍を踏んでしまったとも言えるだろう。

1位で地元の星・中村の指名成功も…

ドラフトで、地元広島出身の中村奨成(広陵高)の交渉権を獲得

だが、CS敗退で広島全体が意気消沈した中、来季以降に向けて明るい話題もあった。敗退決定の2日後に行われたドラフトで、地元広島出身で今夏の甲子園で新記録となる大会6本塁打を放った中村奨成(広陵高)の交渉権を獲得。

「打てる捕手」として、今季、高卒1年目で1軍デビューを果たした坂倉将吾との切磋琢磨で「カープ史上最強捕手」の誕生の夢が見られそうだ。

ただ、このドラフトでは不満も残った。現状のチームで最大の補強ポイントだった左投手を1人も指名しなかったことだ。育成を含めて計9人の指名選手中7人が投手だったが、すべて右投手で、即戦力どころか、将来性を見込んだ高校生の指名もなかった。実力重視の指名であったのだろうが、この偏った指名には首をかしげる部分もあった。

おそらく球団の方針では、今季1軍でも先発した高橋樹也や、1年目はファームで力を蓄えた高橋昂也など、現有戦力の成長を期待していると見られるが、先発、リリーフでの慢性的な左腕不足は、来季もチームの弱点となっている。

不安材料を跳ねのけて3連覇なるか

埋められなかった左腕の他にも、2連覇の原動力となったコーチ2人の退団も、来季への不安材料となっている。打撃担当の石井琢朗コーチと外野守備走塁担当の河田雄祐コーチは、連覇の陰の立役者と言える存在だった。

6日に発表されたコーチ人事では、河田コーチの後釜にチーム生え抜きの廣瀬純氏が入ったが、石井コーチに代わる新任の打撃コーチの名前はなかった。

来季からは石井コーチとともに3人体制を敷いていた東出輝裕、迎祐一郎の両コーチが中心となるが、スタメンや代打起用などで、実質的な決定権を持っていた石井コーチの退団が、チームにどのような影響をもたらすのか。残された両コーチにとっては来季が試金石のシーズンとなる。

来季に向けて、現時点では不安材料も多い。悲願の日本シリーズ制覇へ、来季を「三度目の正直」とすることができるのか。FAが解禁となり、首脳陣でも石井、河田の両コーチの東京ヤクルト移籍が有力になるなど、各チームとも、オフの補強を着々と進めている。

それでも主力選手の多くが最盛期を迎えつつあり、シーズンの戦いで選手層の厚さも見せつけた広島が、来季も優勝候補の一角であることは間違いない。リーグ3連覇となれば、セ・リーグでは巨人を除けば初の快挙となる。

3連覇への挑戦権は、連覇を果たしたチームのみに与えられる特権だ。こんな千載一遇とも言えるチャンスを逃すわけにはいかない。(大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

(※引用元 ベースボール・タイムズ

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