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黒田、新井、田中、菊池…伝説のスカウト「チーム柱の見極め方」とは

2020年10月16日

黒田、新井、田中、菊池…伝説のスカウト「チーム柱の見極め方」とは

決して資金力には恵まれていないからこそ、独自の視点で未来の中心選手を獲得してきた。この道39年のベテランスカウトが明かす、優勝をもたらしたナインの獲得秘話。

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御年71歳の苑田聡彦のスカウト行脚が始まったのは、1978年である。

福岡・三池工業高の長距離砲として鳴らし、広島カープでは外野手、内野手として現役生活を14年。レギュラー選手として華々しい経歴こそなかったものの、チームには欠くことのできないユーティリティープレーヤーであり、頼りになるバイプレーヤーでもあった。

スカウトになって、最初の遠出は高校野球の春季東北大会になった。

先輩のスカウトが連れて行ってくれるはずだったのが、間際になって旅程表の入った手紙が届き、一人で行ってくれという。

行き先は弘前だった。

大牟田と広島にしか住んだことのない人間ですから

苑田にとって、それまでの旅は東京、大阪、名古屋……行き先はいつも決まった街であり、たまに知らぬ土地へ向かう時にも必ず大勢のチームメイトが一緒だった。

「そんなこと、ぼんやり考えとったら、港のほうで連絡船の汽笛がボォーッと鳴ってね、もうそれだけでダメでしたもんね」

今はそう言ってなつかしそうに笑う。

「大牟田と広島にしか住んだことのない人間ですから、話す言葉も九州弁と広島弁が混ざったような変な言葉でね。人ともなかなか話もできんかったですもんね……」

スカウト苑田、33歳。関東から北海道、東北をたった一人で受け持って、プロ野球スカウトとしての旅立ちの日であった。

野村祐輔は「全部持っとったですよ」

目の前のテーブルの上に、カープの勝利を伝える新聞がある。

昨夜もまた相手チームを一蹴したメンバーの名前に、苑田が目を落とす。スカウトとして、練習や試合を何度も見、決断をしてカープに導いた名前が何人も並ぶ。

「田中(広輔)は他所が外れ1位で行くって情報が入ってたんで、まさか3位で獲れるとは思わんかった。菊池(涼介)もそうやったですね。スピードも勝負根性もあって、唯一、ショートを守っているときに三遊間からの送球がシュート回転するのだけが心配やったけど、セカンドで使ってもらって長所の方が生きた。鈴木誠也もようなったでしょう。打ち損じた時の顔なんて、すごいですよ。プロの顔になってきたな」

問わず語りが続く。

「野村(祐輔)の年は菅野(智之=現・巨人)がおったけど、ウチは野村に決めとったですから。ボールのキレ、球種の多さ、コントロール、守備、牽制……それに気性の強さ。全部持っとったですよ」

黒田博樹の性格の強さと大物感

菅野は巨人に行ったから、あれだけ活躍できているという。伯父の原辰徳監督がいて本人も熱望していた巨人。広島に「顔」が向いていない選手を無理に獲ることはないという。

「黒田(博樹)のことはよう訊かれます。自分のベストボールを打たれると、次の打席でまた同じボールで勝負にいってやっつけてしまう性格の強さ。練習の時もいつも先頭。人の後ろをついていくようでは、プロは無理です。投手なのにバッティング練習なんかよく見てましたね、オレならあそこを攻めるなぁ……って顔してね。大物感がありましたよ、まさか200勝までするとは思わんかったけど」

両親のことも印象的だったという。

「お父さんは元南海の選手。いつもきちっとした服装で背中がまっすぐ伸びていて。帽子をかぶった姿がまたかっこよくてね」

お母さんは教員をしていたという。

「入団発表の時、『授業があったものですから申しわけありません』と時間ギリギリに広島に着いて。終わると普通は会食して、翌日は宮島観光をして帰ってもらうんですけど、黒田のお母さんだけは『生徒たちが待ってますから……』と、入団発表が終わるとすぐに大阪に戻って行かれました」

「猛練習の系譜がウチにはありますから」

目の前の新聞には、新井貴浩の活躍が見出しになって報じられている。

「打てんし、捕れんし、投げれんし……」

駒大時代の新井を思い出している。

「でも馬力はあるし、体もでかかった。正直、そこまで(能力を)買ってなかったですよ。でも、駒大の太田誠監督(当時)の『技術は三流だけど体の強さは超一流』。その言葉が心に残って」

1998年のドラフト。6位で指名された新井の後に指名された選手は、全球団合わせても11人しかいなかった。

「成功したのはもう、本人の努力しかないでしょう。とにかく練習してました。高橋慶彦から始まって、長内孝、浅井樹に金本知憲、町田公二郎もそうでしょう。猛練習の系譜がウチにはありますから」

「カープ一途」選手で14年、スカウトで39年

新井が入団して3、4年経った頃、こんなことがあったという。

「あの頃、2月の沖縄キャンプは休日の前の晩は門限なしでね。朝の7時ごろ新聞読みにロビーに降りていったら、ちょうど新井が帰ってきたところで、当時の松原(誠)コーチが『ちょっとバット振って酒抜こうや』って声をかけたら、『はい!』って元気に返事してすぐユニフォームに着替えて降りてきてね。そのまま、昼過ぎまで振りっぱなしですよ」

あらためて新井の頑丈さに驚きながらも、うれしそうに笑っている。

「優勝したいから阪神に行きますみたいな意味のこと言って出て行ったんだから、戻って来にくかったと思いますよ……」

選手で14年、スカウトで39年。今年でカープ53年を迎える「カープ一途」。

「それもよう訊かれます」

いたずらっぽく笑うこの人の愛嬌が、多くの人を惹きつける。

「私、プロに入って何が嫌やったかといって、寮の2人部屋ほど嫌なものはなかった。トレード話も何度もありました。行けばレギュラーかもしれん、だけどカープやなかったら辞めますって言って全部断ってきた。私は新しい人間、新しい環境が苦手なんです。だから、ずっとカープ。いつの間にか50年。ただそれだけなんですよ」

(※引用元 Number Web

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http://www.sanspo.com/baseball/news/20180408/car18040813080002-n1.html

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