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誠也「12月いっぱいは何もしません」、練習の虫に何があったのか?

2020年12月24日

誠也「12月いっぱいは何もしません」、練習の虫に何があったのか?

例年よりも広島は、静かなオフとなっている。

新型コロナウイルス感染拡大予防のため、球団は一軍本拠地マツダスタジアム、二軍の大野練習場の使用を午前と午後に分けている。練習時間が限られる環境で、自宅などでトレーニングするなど、選手個々に工夫も見られる。

そんな今オフ、ある選手の姿をまったくと言っていいほど見ない。昨オフまで毎日のように姿を見せていた鈴木誠也の姿が、今年はないのだ。

「もうすべて埋まってパンパン」と言っていたのに……

「今年は休もうと思って。12月いっぱいは何もしません。(シーズンオフが)1月31日まであると思うので、ギリギリまで休みたいと思います」

球団歴代野手最高年俸の推定3億1000万円で契約を更改した9日の会見での言葉を信じてはいけない。今季終盤にはすでにオフのトレーニングの計画を練り「もうすべて埋まってパンパン。時間が足りない」と話していた。何より、シーズン中でも誰よりも練習をする練習の虫が、じっとしていられるわけがない。

探求心は球界を代表する打者になっても衰えない。それどころか、選手としての成長とともに増している気がする。

一軍で「神ってる」と言われた2016年は、シーズン終了とともに打撃をゼロからつくり直した。首位打者を獲得した19年も、シーズンが終わればすぐにバッティングの型を変えた。

「挑戦しないと、人は変わらない」

立場が変わっても、どれだけ良い成績を残しても、変化を求める思考と行動力が成長を促してきた。

今季、チームが5位に沈む中、打率3割、25本塁打、75打点という成績を残した。5年連続打率3割は広島球団初。5年連続で打率3割と25本塁打を記録したのは、王貞治氏、落合博満氏、小笠原道大氏に続き4人目となる偉業だった。そうそうたる顔ぶれに並ぶ大記録に、先人たちへ敬意を払いながらも満足感はない。

「何とも思っていない。3割は1つの目標ではあったのですが、最後の試合も出ていないし、調整したみたいな感じもあったので情けない。長打率(5割4分4厘)も今年はあまり良くなかった。OPS(出塁率+長打率=9割5分3厘)もそんなに高い数字ではなかった」

鈴木誠也という打者を見てきた記者も正直、もっと高い成績を求めていた。誰よりも本人がそう感じていることは、契約更改の記者会見での表情が物語っていた。

コロナで調整のペース配分を崩した

2020年シーズン、誤算はあった。

新型コロナウイルス感染拡大によって、開幕日が二転三転した。調整のペース配分とともに、気持ちのコントロールが難しい。「開幕が遅れることでオフが短くなると思い、ずっとウエートばかりしていた」。鈴木は揺れる気持ちをウエートトレーニングにぶつけた。

ただ、それが結果的に失敗だった。「シーズンが始まっても体が硬く、おかしな感じがあった」。7月上旬まで打率4割超の滑り出しも、開幕からずっと動きに違和感が拭えなかったという。

だからこそ、今オフは新たなトレーニング方法を試す決断をした。強さだけでなく、しなやかさも追い求めている。新型コロナウイルスによる延期や変更などにも対応できる備えをしている。

レギュラーに定着して初めて「最下位争い」に

また何より誤算だったのは、チームの低迷だった。開幕直後に下位に転落すると、上位浮上の兆しも見えないまま最下位争いに加わった。クライマックスシリーズ(以下CS)のないシーズン。夏頃には、チームは大きな目標を見定められなくなっていた。

初めての経験だった。レギュラーに定着してから初めて優勝争いに加わることができなかった。一軍で出場機会を増やした15年も、4連覇を逃した19年も、最後までCS争いにはいた。

勝てない状況が続くと、小さな歪みは次第に大きくなり、気づけば修正できない状態となっていた。選手も首脳陣も1つになり切れない。3連覇したチームとはまったく違う空気が漂っていた。

「ここぞの集中力が出ない」と懸念していた無観客試合で自らを奮い立たせながら戦ってきた鈴木だったが、変わらないチーム状況に心のバランスが崩れているようにみえるときもあった。そんな内面を感じさせる行動が時折みられたのは、鈴木の若さゆえだったかもしれないし、バットで引っ張ることしかできない自分への苛立ちからだったのかもしれない。

「個を突き詰めるだけだとつまらないし、しんどい」

個人タイトルという目標があったという見方もできる。結果的に達成した5年連続3割も目標の1つだっただろう。ただ、シーズンを終えた鈴木は、かぶりを振ってこう言った。

「自分のためにやる野球は違う。正直、面白くない。シーズンが終わってから、いい成績が残っていることが一番。最初から自分の成績をここまで残したいというやり方は自分に合わない。そう思った。どういうことを求められているのか感じて、プレーしたい」

選手が自分のためにプレーした結果チームのためになる、という考えもある。だが、鈴木は違う。

「個を突き詰めるだけだとつまらないし、しんどい。チームのために、という考えが結果的に自分の成長につながるんだと思う」

チームのために自分があり、チームの勝利が唯一の喜びでもある。広島の歴代野手最高年俸となり、名実ともに広島の顔となった。来季からは野手キャプテンも務める。鈴木にとって、変化は進化への入口だ。

「今年の経験も、いい経験にしたい」

誤算も反省も、思考や行動によってプラスに変えられれば、成長の推進力となる。

(※引用元 Number Web

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