広島・西川龍馬内野手(26)は、昨季の無念を晴らすために、21年のテーマを「無欲」とした。昨年の絵馬には、自身初のタイトル獲得に向けた個人目標を書き込んだが、シーズン中に右足首の手術で離脱するなど達成できなかった。今年は「ケガをしない」と単純明快な目標に変更。心機一転、手術明けのシーズンに向かう。
西川が昨年犯した最初の失敗は、初詣にあったという。「去年は欲を出した。調子に乗って書いたんです。だから痛い目にあうんですよ…」。年明けに出雲大社を訪れ、絵馬には「優勝」に加えて「首位打者」「ゴールデングラブ賞」と高い個人目標を書き込んだ。
攻守での非凡な才能を考えれば、いずれも受賞可能な目標ではあったものの、昨季は右足首の故障に悩まされた。8月下旬に降格すると、再昇格後の11月に手術を受けて離脱。打率・304としながら規定打席には届かず、「けがしないようにやっていたので(収穫は)なかった」と不完全燃焼に終わった。
そんな悔しい1年を思い返し、今年の絵馬には「ケガをしない」とだけ書いた。昨オフに「3割・20本塁打・70打点」と公言した目標も、今季はあえて設定しない。
「それ(目標)を言ったら、また痛い目にあう。とりあえず試合に出る。(決めるのは)それだけ。終わってみて、数字が良ければそれでいいです。無欲が一番強い」
患部は、自力で歩行できるまでに回復した。ウエートトレーニングとリハビリを繰り返しながら、ダッシュ再開の時期を待つ。
「とりあえずリハビリに専念。(キャンプまでには)動けるんじゃないですか。あとは、トレーナーがどう判断するかだと思う」
春季キャンプの1、2軍の振り分けは未定ながら、いずれにせよ初日から全ての練習メニューには参加できない可能性が高い。西川の不在を好機と捉え、大盛、宇草ら若手外野手は、開幕スタメンに向けての猛アピールを狙うだろう。
「大盛も宇草も1年間試合に出られれば、普通に打てると思う。(若手が)出てきてくれた方が僕に危機感も出てくるし、それはお互いにとって良いことだと思う」
定位置をつかんだ立場とはいえ、万全でなければ、若手だけでなく長野、野間らに出場機会を譲ることにつながる。今季のテーマとした「無欲」には、再びの離脱は許されない危機感がある。(河合洋介)
(※引用元 スポニチアネックス)