カープに鯉

広島カープへの想いを届ける記事を掲載♪「カープ関連」のLINEスタンプも紹介してますヾ(*≧∀≦)ノ゙

大道はなぜあんなに腕を振れるのか?「栗林さん」やコーチの言葉とは

2021年4月22日

大道はなぜあんなに腕を振れるのか?「栗林さん」やコーチの言葉とは

攻めの姿勢が自軍に流れを引き寄せた。

4月18日、中日戦。敵地のマウンドに上がった広島東洋カープのルーキー・大道温貴は、1点ビハインドの7回裏、いつものように捕手・會澤翼のサインに頷いて、右腕をめいっぱい振り切った。

先頭の根尾昂には、初球の149キロのストレートでファールを奪うと、スライダー、スプリットの変化球でカウントを整えてから、最後はインコース高めのストレートで空振り三振。続く代打・滝野要には全球ストレートの力勝負を挑み、センターフライに打ち取り、さらには前回の対戦で中前安打を打たれている大島洋平に対しても、怯むことなくゾーンで勝負して、3球目の変化球でレフトフライを打たせた。

躍動感があるワインドアップの投球フォームから繰り出されるストレートは最速150キロ。球速以上のスピードを感じさせるその球は、キャッチャーミットにスーッと吸い込まれる。内外角の両サイドをきっちり突くというよりも、ワイルドにストライクゾーンにめがけて渾身のボールを投げ込む。その姿はコロナ禍のモヤモヤを吹き飛ばすほどの“爽快感”に溢れ、見る者に一服の清涼剤となっている。

4月20日のヤクルト戦でも好投し、これで8試合連続無失点。中継ぎでの起用ながら、はやくも2勝を挙げ、同じルーキーの栗林良吏、森浦大輔らと共にカープの勝利パターンを形成。2018年を最後にリーグ優勝を逃しているカープの救世主になれるかーー早くも、そんな声さえも聞こえてくる。

女性ファンもツウも唸るピッチング

涼しげで端正な顔立ちは、少女漫画から飛び出したヒロインの相手役を思わせるが、一転、マウンドに上がれば闘争心をむき出しにして相手打者に立ち向かう。その姿はカープ女子のみならず、ファン歴ウン十年のツウたちのハートもキュンキュンさせているようだ。

そんな状況はいざ知らず、大道は現在、自身がマウンドに立つ心境を次のように語る。

「一見、自信があるように見えると思うんですけど、マウンドでは腹を括って、後悔をしないように腕を振っているだけです。普段の自分はそんなに自信がある人間でもなくて、(部屋に帰ってから)動画を見ながら、しっかりとフォームを確認したりして、些細なことでも気にしていたりするタイプです」

ルーキーらしからぬ佇まいは、ときに「怖いもの知らず」「度胸がある」などと称される。しかし、当の本人は、湧き上がる不安を努力で打ち消しながら、最悪のイメージを最高のイメージに変えるべく、日々葛藤しながら投げている。

自慢のストレートを、思い切りストライクゾーンに投げ込むのだって、今の自分の立ち位置を確認する想いが強いから。いずれ連続無失点も途切れるだろうが、そこからが真の正念場だと当の本人も覚悟している。そこがプロ1年目、22歳の現在地だ。

今年1月の新人合同自主トレでは、ルーキーで誰よりも早くブルペン入りし、春季キャンプでは前半から飛ばし気味に首脳陣にアピールした。自分の目標を最短で達成しようと考えたが故の行動だった。

目指したのは「開幕一軍」。その先に見据える目標は、いったん頭から離して、日々の課題と向き合った。

「他とは何か違うことをやりたい」

「青森の大学を選んだこともそうなんですけど、自信があるか、ないかで答えたら自信は持っていない方だと思うんです。だからこそみんなと同じことをやっていたんじゃいけない。ドラフトも1位や2位で選ばれたわけじゃないので、そこと一緒にやっていてはいけない。(春日部共栄)高校時代もけっして能力はなかったし、八戸学院大に進んでからも最初は社会人野球に進もうと考えていたくらいです。そういった面でも他とは何か違うことをやりたいという考えが僕の中に常にあったと思います」

ふと自分の弱さと向き合ったときに、思い出すことがある。春日部共栄高の1年生時、自分より先を進む同級生に嫉妬したことがあった。

「(当時)同学年のピッチャーで順位をつけるなら自分は2番手か3番手でした。その同級生がBチームに入る一方で、僕は入っていないことが多くて、僕が1年生のときに(春日部)共栄が甲子園に出たんですけど、そのときも彼は手伝いで行っているのに、自分は留守番メンバーに入っていた。それが悔しくて、そのときは自分のことを考えるんじゃなくて、他の人のことばかり気にしていたんです」

自分の弱さに気が付くと、そこからはガムシャラに練習に取り組んだ。すると、今までにない感覚が自分の中についていることに気が付いた。高校1年の冬の出来事だ。

「そのときに隣を見たら誰もライバルはいなくなっていたって感じです。そのときに『孤独』になれば良いのかなって。少し掴んだ感じがありました」

周りを気にするのではなく、自分がレベルアップすることだけを考える。今もその基本姿勢は変わっていない。プロに行けば、自分より力が上の選手は大勢いる。その度に周りを気にしていたら、いずれ自分を見失う。

同期入団でともに勝ちパターンを任されている栗林良吏と森浦大輔は、ライバルというよりも同じ目標に向かって行く同志。2人について訊くと、大道は少し表情を緩めて次のように答えた。

「性格も、タイプも違うので、そう言ったところがお互いに良い関係になっているのかなと思います」

クローザーを務める栗林良吏からは、こんな言葉をもらった。

「『俺のストレートよりもハルキ(温貴)のストレートの方がめちゃくちゃ速く見えるよ』とか『球速は140キロ台でも体感は150キロ以上に感じる』とか。それが今、より腕が振れていることにも繋がっていると思うんです」

4月20日時点で栗林は9試合に登板し、抜群の安定感でリーグトップの6セーブをあげている。当然、大道もそこから良い刺激をもらっており、互いを認めているからこそ起こる相乗効果も生んでいる。そんな栗林を一投手としても、一社会人としても尊敬している。

「栗林さんからいただく言葉は、向こうからしたらサラッと言った一言だったかもしれないです。だけど、僕の中では結構な自信にもなっています」

「ありのままを出しなさい」

ブルペン担当の永川勝浩投手コーチの存在も心強い。

「春季キャンプの1回目に入ったブルペンで佐々岡監督から『ボールを叩け』と指導をうけたんです。だけど、そのときはワインドアップにするとボールが叩けなくて、(キャンプ中に行われた)シートバッティングもセットで投げていたんです。そこで、一度はセットで投げようかなと迷っていたんですけど、全体練習後の自主練習中に永川さんと2人で話す機会があって、そのときに『1年間、自分のありのままを出しなさい』と言われて、そこで迷いがなくなりました。『あっ、変えちゃダメなんだな』と。そこでワインドアップのまま行くことにしたんです」

まだ22歳。プロの眼から見れば、欠点だらけなのかもしれない。

それでも自分の良さをそのまま引き出そうとしてくれる指導者が身近にいる。永川コーチの一言に大道は救われた思いをしたに違いない。

まずは、これまで自分がやって来たことをグラウンドで出して、1年が終ったときに次の1年をどう過ごすかを考える。開幕から続く、大道、森浦、栗林らの活躍はこうした首脳陣の温かい指導が引き出しているのかもしれない。

大道はさらにこう続ける。

「横山(竜士)コーチと永川コーチは『自分のタイプ(自分本来の姿)をこの1年間は見せてくれ』って言ってくれました。『まずは1年間やってみて、終ったときに反省しよう』と。フォーム的な細かい部分は全く言われないですけど、その中で2人には『お前のようなタイプは腕を振ってこそなんだから』と」

結果を恐れ、腕が振れていないときは、さすがにコーチも一言、二言、口を出す。だが、その距離感が大道にとっては心地良い。シーズンも開幕からもうすぐ1カ月が経過し、これからカードは二周り目、三周り目と進んでいく。相手球団の研究も進めば今までどおりに行かないことも出てくるだろう。それも承知の上だ。

「今はみんな初見なので、最初は様子見だと思うんです。これから対戦も二周り目に入って、二度目の顔合わせも徐々に増えて行く。(その分)怖さは感じています」

それでもやる事は変わらない。大道はこう続ける。

「結局はストレートが軸になって来るので、どれだけストレートでファール(カウント)が獲れるかだと思うんです。そこでストレートをコースに投げ切るのではなく、相手が捕えたと思ってもファールになるような強いストレートを投げて行きたいと思う。それを投げて行けば変化球を見せ球にしたり、決め球にしたり、(投球の)幅が広がると思うので。そこを大切にやって行こうかなと考えています」

今は目の前の打者、ひとりひとりを全力で抑えることだけ考える。今回の取材では、その先にある夢の話はあえて口にしなかった。

だが、大学4年の秋、大道は自身の胸のうちをこそっと打ち明けてくれたことがある。

「成功者は遠回りをして、やっとゴールに到着する。そう思っている人が多いと思います。でも、僕はそうではないと思っていて、成功する人は皆、近道をしているんじゃないかと思うんです。成功する人は『こうなりたい』と思ったら、そのために今、何をすべきか、今、何が足りていないのかを考えて、すぐに実行へ移している。その時点で僕は近道を選んでいる気がするんです」

今、こうしている間も彼は工夫を凝らし、体を鍛え、次の出番に備えている。その視線の先には、しっかりと自身の未来像が見えているのだろう。2021年のシーズンが終わったとき、大道温貴の名がどこまで響いているのか。我々の想像する上の辺りをきっと歩いているはずだ。

(※引用元 Number Web

関連記事

達川氏、期待の『若鯉』に床田を指名「15は勝つ」!中村奨成には…

達川氏、期待の『若鯉』に床田を指名「15は勝つ」!中村奨成には…

元プロ野球選手で野球解説者の達川光男氏(63)が29日、TBSラジオ「伊集院光とらじおと」(月~木前8・30)に出演。広島で注目している“若鯉“について言及した。 パーソナリティーの伊集院光(51)か …

誠也が培ったリーダーの自覚「自分も変わらないといけないなって…」

誠也が培ったリーダーの自覚「自分も変わらないといけないなって…」

2020年、鈴木誠也は広島だけでなく、日本の顔になる。広島ではチームの復権に欠かせない超主力であり、東京五輪に臨む侍ジャパンでは4番の最有力候補。新たな1年で鈴木は、全国の注目を集めるに違いない。 昨 …

チャンスで小園の犠打になぜ?佐々岡采配にカープファンの不満が募る

チャンスで小園の犠打になぜ?佐々岡采配にカープファンの不満が募る

プロ野球の広島は2021年5月12日、神宮球場でヤクルトと対戦し9回0-0で引き分けた。 先発・森下暢仁(23)が7回3安打無失点の好投を見せるも報われず。打線は2回に無死1、2塁の先制のチャンスを作 …