甲乙つけがたいハイレベルな争いが続いている。ペナントレース前半が終わり、広島のドラフト1位・栗林良吏投手(25)=トヨタ自動車=に、新人王のライバルとなる阪神のドラフト1位・佐藤輝(近大)について直撃した。
「(佐藤輝が)本塁打を打ったからといって、(自分が)抑えてやろうとかはないですかねぇ」
そう語る鯉の守護神は4月の1軍デビューから22試合連続無失点のプロ野球記録を樹立するなどここまで34試合に登板して0勝1敗、リーグ2位の18セーブ、防御率0・53。一方、佐藤輝も84試合に出場して打率・267、20本塁打、52打点(本塁打と打点はともにリーグ4位)と強烈な印象を残している。
新人王は新聞社、通信社、放送局のプロ野球取材歴5年以上の記者の投票で決まる。一般的に優勝チームや、巨人、阪神は担当記者も多く有利とされている。栗林が佐藤輝を上回るためには、個人で圧倒的な成績を収めるか、阪神戦などでインパクトを残す必要がある。
お手本がいる。昨年は同僚の森下がリーグ連覇した巨人・戸郷と新人王を争った。シーズン中盤まで森下と戸郷は互角の展開だったが、森下が10月から11月にかけて4連勝をマークして10勝3敗、防御率1・91、124三振まで成績を伸ばした。対する戸郷は、10月から11月にかけて1勝2敗と失速して9勝6敗、防御率2・76、106三振。終盤のスパートが鍵になるか。
栗林は「佐藤くんよりどちらかというと同じ社会人出身で同年齢の中野(三菱自動車岡崎)、伊藤将司(JR東日本)を意識している。ライバル視というか、切磋琢磨していきたい」という。8月13日の阪神─広島(京セラ)でペナントレースは再開される。鯉と虎のライバル物語は、ここから佳境に入っていく。(柏村翔)
(※引用元 サンケイスポーツ)