公式戦(10月21日、カープ11-7ヤクルト、神宮球場)
広島は21日のヤクルト戦に逆転勝ちし、クライマックスシリーズ進出に望みをつないだ。3点を追う7回無死一、二塁から宇草孔基外野手(24)の中前打を相手中堅手が後逸する間に宇草も生還し同点。さらにたたみかけ坂倉将吾捕手(23)が決勝打を放つなど7安打を集中し打者11人で7得点を奪う「ラッキー7」となった。今日22日の同戦も勝って3位巨人にプレッシャーをかける。
“奇跡を起こせ”と野球の神様が力を貸してくれた。目の前で起きた幸運からの大逆転劇に、佐々岡監督はナインの勝利への執念を感じ取った。
「相手の失策につけ込んで、つないで、つないで。本当にいい攻撃。この試合にかける、最後まで諦めない姿勢が出ていた」
3点を追う7回、会沢の安打と代打長野の四球で無死一、二塁。宇草の遊撃右を抜く安打を相手中堅手の塩見が前進しながら捕球を試みたが、グラブにかすりもせず後逸。思わぬ事態に一塁ベース付近でスピードを緩めていた宇草は再加速。俊足を飛ばし一気に同点の生還を果たすと、笑いが止まらなかった。
「とにかくつなごうと。あんなに全力で(ダイヤモンドを)一周したことないです」
続く小園も中前打し、もう一度チャンスメーク。1死後、鈴木誠も中前打で一、三塁ととすると坂倉が決めた。スアレスの初球チェンジアップを詰まりながらも右前に運ぶ勝ち越し打。「みんなつないでくれたので、何とか続こうと思って頑張った。(大瀬良の降板で)一度シュンとなったと思うけど、一人一人が勝つんだという気持ちを持ってやった結果」と8試合ぶりの打点に胸を張った。菊池涼、会沢も適時打で続き11人攻撃で7得点。まさに「ラッキー7」だった。
坂倉は初球の大事さを、定位置をつかむまでの過程で覚えた。3年目の19年に主に代打で51試合に出場。「代打で出たときに初球から振れないと勝負できないなと実感した。去年から“なるべく初球から振っていこう”とずっと思っていた。そこを大事にしたから、少しずつ一発で捉えることができ始めた」。好不調の波はあっても、積極性だけは忘れなかったことが、価値ある一打につながった。
残り5試合。1敗すればCS進出がなくなることに変わりはない。指揮官は「一試合一試合集中してやるだけ」と言った。奇跡を信じたくなる1勝だった。(河合洋介)
(※引用元 スポニチアネックス)