広島の菊池涼介内野手(31)が8日、広島市南区の球団事務所で契約交渉に臨み、現状維持の年俸3億円プラス出来高払いでサインした。攻守で一定の貢献を果たしても、新型コロナ感染による離脱などで「悔しい」と振り返る今季。
4年契約の3年目となる来季は全143試合出場を一目標に掲げ、新任の小窪内野守備走塁コーチとともに若手の指南役を担う意気込みだ。(金額は全て推定)
一定の貢献を果たした10年目だった。9年連続9度目のゴールデングラブ賞に輝き、出場132試合で打率・277。自己最多16本塁打、自己最多に並ぶ60打点を挙げ、攻守両面で存在感を示してきた。それでも菊池涼に満足感はない。
「コロナになって迷惑をかけ、復帰しても力になれなかった。すごく悔しい。1年間、元気でいるのは大変だな…と改めて思った」
3・4月の月間MVPを受賞する好スタートを切りながら、新型コロナに感染した5月に戦線離脱。チームも3年連続Bクラスに終わった。16~18年のリーグ3連覇当時から、中心選手として一途に優勝を目指してきた実力者には屈辱だった。
「楽しかったと思えない。寂しいし、勝たないと面白くない。数多く勝たないと」
チームで個人で巻き返しを誓う来季は4年契約の3年目。「(複数年契約に)十分応えてくれている」。鈴木清明球団本部長はそう評価した上で「一緒にやることで小園が上達している。小窪コーチも新人なので“引き続き頼む”と伝えた」と明かし、31歳に幅広く指南役を求めた。
菊池涼は振り返る。
「小園にも(林)晃汰にも細かいことは言っていない。試合に出て経験するのが一番の成長。感じるものや、気付いてほしいものがある。だから、あまり言いたくなかった」
若ゴイにとっては実質1年目。名手は、むやみに知識を押しつける弊害を知る。チーム力熟成へ。来季はよりコミュニケーションを取り合い、互いの感覚をすり合わせながら連係を深める覚悟だ。
「来春キャンプでは(若手と)一緒に特守に入りたい。そういう部分を(小窪)哲さんとやっていきたい」
改めて期するものもある。全143試合出場。達成すれば、15年以来7年ぶりとなる。
「出たい。チームの中で選ばれてフィールドに立っているので、少々のことで痛い、かゆい言わずに、しっかりやり切りたい」
強い自覚。円熟期にある名手はプレーで、コーチングで、若いチームを引っ張る。(江尾 卓也)
(※引用元 スポニチアネックス)