スポーツ報知のカメラマンが2021年に激写した数多くの写真から“年イチ”のベストショットを紹介する企画。豊田秀一記者編です。
9月7日の広島―中日戦(マツダ)。広島・坂倉将吾捕手が、プロ5年目で初めて規定打席に到達し、セリーグ打率1位に躍り出た。この記念すべき日を、人生初という逆転サヨナラ弾という最高の形で飾った。
私がファインダー越しに生還するヒーローを追いかけていると、ベンチから一斉に飛び出したナインに隠れて、本人の姿が見えなくなってしまった。
「やばい!」と思った次の瞬間だった。まるで自動ドアの扉が開くように、あるいはモーゼが海を割ったように、チームメートたちの背中が2つに別れ、すーっとスペースが生まれたのだ。
そして、出迎えた一塁走者の鈴木誠也外野手とジャンプしながら抱き合うシーンを撮ることができた。ちなみに、横に並んでいた他紙のカメラマンのほとんどは、この決定的瞬間が見えなかったということだ。
結果的に首位打者となった鈴木誠と最終戦までタイトル争いを演じながら、惜しくも2厘差で2位に終わった坂倉。メジャー挑戦を表明している主砲から後を託された来季も、打線の中軸としての活躍を期待したい。(豊田秀一)
(※引用元 スポーツ報知)