開幕前、評論家の大多数が「最下位」と予想した広島が、DeNA相手に記録的なロケットスタートを切った。開幕から2戦連続の2ケタ得点は、1リーグ時代を含めて1991年の西武以来4度目でセ・リーグ史上初。開幕カード3連勝は、リーグ3連覇した18年以来4年ぶりで敵地では05年の巨人戦(東京D)以来17年ぶりだった。ただ、そこに期待された大砲候補の姿はなかった。
昨季、三塁レギュラーとして102試合に出場した4年目の林晃汰内野手は、開幕を2軍で迎えた。昨季は4試合で4番にも座り、目標に掲げた2ケタ10本にも到達。だが、今年のオープン戦は打率1割9分2厘、本塁打はゼロ。20日のオープン戦最終戦は、途中出場で空振り三振。試合後に2軍降格が告げられた。
鈴木誠也(カブス)不在となった打線で“唯一の光”といっていい存在だった。昨季は、その主砲と頻繁に打撃練習を共に、背中に間近で触れてきた。首脳陣も「4番候補」として期待を寄せていた。朝山打撃コーチは「だから、余計にですよね。去年あれだけチャンスをもらって経験しているのにオープン戦、練習試合でふがいない打席内容が多かった。一番は速い球をしっかりはじき返すこと。彼の場合は打たないと。ベンチに置いておく選手ではない。しっかり(2軍で)やり直してきてほしい」と言葉を向けた。
オープン戦は成績も残せていなかったが、決定的だったのは16日のロッテ戦(ZOZO)。2打席連続の見逃し三振に倒れ、そのままベンチに退いた。
今の林の姿に重なるのは、同じ高卒で同期入団の小園だ。2年目の20年に2軍でリーグ2位の打率3割5厘、最多76安打の成績を残しながら、昨季はキャンプ、開幕はいずれも2軍。佐々岡監督が「彼がここからはい上がってこられるかどうか。腐らず意地を見せて1軍に呼んでもらえるようアピールしてほしい」と期待したように、2軍で結果を残して開幕1か月後に1軍昇格し、主軸を務めるまでに成長した。
小園は、今の地位を築いた原動力を「(昨季は)最初2軍で本当に悔しかったし、何とかはい上がってやろうという気持ちしかなかった」と振り返る。悩める同期も今、同じ気持ちになっているはずだ。佐々岡監督は、背番号44に対して打者としての才能以上に「努力が一番の選手」と評価する。将来の4番になるため、今季ではなく今が正念場だ。(畑中祐司)
(※引用元 スポーツ報知)