開幕ダッシュのきっかけは3月25日、DeNAとの開幕戦直前の横浜スタジアムのロッカールームの出来事だった。広島・佐々岡真司監督(54)は選手のモチベーションを上げるためにサプライズで動画を上映。評論家が最下位を予想するシーンの後には「やっちゃろうや!!」と呼びかけ奮起を促がした。
「高ぶる気持ちで開幕に臨みたかった。最下位と周りがいうのはしようがない。だけど、われわれはそこを見返さないといけないというね」
約3分間の動画の真意を語る指揮官。その狙い通りにナインの士気が高まり、球団は1993年以来の開幕6連勝につながった。サヨナラ勝利を飾った3月29日の阪神戦(マツダ)のお立ち台で上本が「やっちゃろうや」と絶叫したこともあり、今季のカープを象徴する言葉となっている。
今回のような勝負動画の文化を広島に取り入れたのは球団OBの黒田博樹氏だった。広島から米大リーグのドジャースへ移籍し、ヤンキースを経て15年に古巣に復帰した日米通算203勝のレジェンドは25年ぶりにリーグ優勝をした16年のポストシーズン前に自身のメジャー時代の経験を元に発案。黒田氏はこの年限りで引退したものの、翌17年は当時選手会長の小窪(現1軍内野守備走塁コーチ)が引き継ぎ伝統として残っている。
浮き沈みが激しいレギュラーシーズンでは指揮官の機転の効いた言葉が大事になる。昨季リーグと日本シリーズ制覇したヤクルト・高津監督はシーズン終盤9月の試合前ミーティングで「絶対大丈夫。俺たちはどんなことがあっても崩れない」をナインに語りかけ結束を促がした。19、20年にリーグ連覇した巨人・原監督はメディアの前で度々、厳しく愛のあるメッセージを送り選手を奮い立たせる。
ここまでの戦いぶりに「いい雰囲気の中で、チーム一丸となって戦えている」と振り返る佐々岡監督。鈴木誠也は米大リーグのカブスに移籍したが「やっちゃろうや」精神で2018年以来のペナント奪還へ向かう。(柏村翔)
(※引用元 サンケイスポーツ)