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投げること以外すべて右利き、マクブルームが胸に秘める…闘う気持ち

2022年6月10日

投げること以外すべて右利き、マクブルームが胸に秘める…闘う気持ち

10分のインタビュー中に何度「compete」という単語を耳にしただろうか。カープ不動の4番、ライアン・マクブルームは、胸の内に秘める熱い思いを「compete=競争する」という言葉で表現した。「いつも“競争心と闘争心”を持ってゲームを迎えられるようにしっかり準備している。結果は自分でコントロールすることはできないが“競争心と闘争心”、そういう強い気持ちをもって毎日ゲームに挑んでいる」。

周囲の信頼度を高めている日々ひたむきに取り組み続ける姿勢

熱いハートの持ち主・マクブルーム選手は球界では珍しい“左投げ右打ち”の選手だ。今シーズンNPBでプレーする左投げ右打ちの野手はマクブルーム選手のみ。ちなみに投げること以外はどちらの手なのだろう。マクブルーム選手が1軍に合流した当初、選手たちも興味を持っていたようで、練習中に小園海斗選手が、「投げること以外はどちらの手でやるのか?」と質問をしていた。

これは選手のみならず我々マスコミやファンの皆さんも気になっていたことだと思う。

マクブルーム選手は、「字を書く時やお箸を持つ時は右手を使う。投げること以外、すべて右利きだよ」と答えた。守備の時だけ左利きになるわけだが、肩の強さもあり送球は安定している。普段から右手を使っているからかファーストミットを持つ右手のハンドリングも実になめらかだ。安定した守備力は“両利き”によってもたらされているのかもしれない。

一方、打撃面においても、異国の地で初めて対戦する投手との打席が続く中、結果を出し続けている。コンスタントに成績を残す秘訣は〈準備〉にあるのではないかと考える。マクブルーム選手に伺うと試合前に行うルーティンを教えてくれた。

「単純なルーティンだが、練習前に必ずウエイトルームに寄って、まずは下半身をどっしりさせる運動をする。それからマシン打撃。これは速さ対策で、とにかく速いボールを片手で打ったり、バランスを考えながら打ったりして、練習に臨む前にすべきことは必ずやっている」

連日、同じことを続けることは難しい。だからこそ日々ひたむきに取り組み続ける姿勢は周囲の信頼度を高めている。カープの佐々木大地通訳はマクブルーム選手について、「常に自分のやるべきことを理解して、試合に向けて準備している。この取り組みは本当に素晴らしい」と話す。

打席での心構えは「バタバタしないこと」

ゲームに臨むまでの準備に加え、試合での対応力もキラリと光る。本人も入団会見で「対応力が強み」と語ったように、マクブルーム選手を語る上で欠かせないワードの1つが〈対応力〉だ。

本人に打席での心構えを聞いた。「非常にシンプルだが、とにかくバッターボックスではバタバタしないこと」。確かにマクブルーム選手が打席の中で慌てた様子は記憶にない。マクブルーム選手は続ける。「投手との1対1の対決の中で、自分がその打席で何ができるか。どうすればチームの勝ちに貢献できる打席内容になるかを考えながら毎打席調整している」。

マクブルーム選手の打席を見ていると、各打席で足の上げ方やスタンスに変化がある。微妙な違いだが、打席ごとに違うこともあれば、1打席の中で1球ごとに変化することもある。投手の傾向を見て意図的に変化させているのかと思いきや、意外な答えが返ってきた。「毎打席変えていると思うが、実はそこまで自分の中で『こうしよう、ああしよう』と考えていない。

打席の中のフィーリングで一応そのようになっているのかな。ピッチャーとの対戦なので、自分の感覚を大事にしている」。自然とアジャストできるからこそ、初対戦の投手が多くてもきっちり結果を残すことができているのだろう。

私の質問にも時折笑顔を見せながら答えてくれたマクブルーム選手。普段はどのような人柄なのか。佐々木通訳は、「明るくて親しみやすい性格」と分析する。そんなマクブルーム選手と佐々木通訳は、5月20日の中日戦で初めてコンビを組みお立ち台に上がった。この試合では、マクブルーム選手が自身初となる満塁ホームランを放ち、佐々木通訳は、地元マツダスタジアムで初めてヒーローインタビューの通訳を担当した。佐々木通訳は振り返る。

「あの時は緊張しすぎて、菊池涼介選手からは『町内放送やないかい!』と突っ込まれました(笑)。マクブルーム選手も終わった後に声をかけてくれたのですが、フワフワしていたので何を言われたか覚えてないです(笑)」。明るいキャラクターのマクブルーム選手が、どのような言葉をかけたのか気になる(笑)。次回、2人がコンビを組んだら、インタビューが終わった後の会話も場内に流してほしい。

(※引用元 文春オンライン

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