交流戦(6月10日、カープ6-3西武、ベルーナドーム)
広島の菊池涼介内野手(32)が10日、“思い出の球場”で西武戦の快勝劇に貢献した。同点の5回2死から、交流戦チーム1号となる2号決勝弾を左翼席へ運ぶと、2点優勢の7回にも右中間へ適時二塁打だ。
投げては野村祐輔投手(32)が6回途中3失点(自責2)の粘投で20年9月30日の巨人戦以来、実に618日ぶりの美酒。チームは連敗を2で止め、勝率5割に再び戻した。
普段はつなぎに徹した黒子役でも、狙っていい場面では強く振ってキバをむく。それがバットマン・菊池涼の真骨頂だ。チームは交流戦15試合で本塁打がなく、54年の球団ワースト16試合に並ぶか否かの土壇場で放った1号。32歳は喜びの中に充実感をにじませた。
「思い切っていけたというぐらいで、本塁打はたまたま。(野村)祐輔が久々に上がってきてしっかり投げていたし、何とか援護したいという気持ちだけ」
同点に追い付かれた直後の5回2死。1ストライクから高橋光が投じた外寄りカーブを振り抜くと、鮮やかな放物線を描いた飛球は左翼席へ着弾した。3月26日、DeNAとの開幕2戦目に放って以来、出場56試合246打席ぶりの今季2号。価値ある決勝弾だった。
「何なんだろう。自分でも怖いくらい。みんなからは“(当球場は)水が合っている”と言われるけどね」
戦いの舞台から車で約20分の距離にある東大和市の出身。敵地は幼い頃から何度も通った思い出の球場でもあった。「99年のオールスターをここで観戦したことがある」。昨年球宴の本塁打を含む4安打2打点など、当地での活躍は過去に何度もあるが、公式戦でアーチを描くのは初だ。
「僕だけじゃなく、負けている時ほど“打たなきゃ”って、みんなが意識していたと思う。きょうは声が出ていたし、1点ずつ、いい点の取り方ができたんじゃないかな」
チームは交流戦に入って5勝11敗と失速。菊池涼自身、中心選手として低調な攻撃の責任を感じていた。そのウップンを晴らす打線のつながり、そして小刻みな加点。32歳は5―3の7回1死二塁でも宮川の外角低めカーブを捉え、右中間へ適時二塁打を放った。
「今のチーム状況でつないでいく攻撃が結果になって良かった。いいイメージで明日、明後日の2試合やっていきたい。僕自身もつなぐ2番としてやっていかないと」
思い出の球場で勝利を呼んだ、交流戦チーム1号を含む2安打2打点。菊池涼はナインのけん引役として言葉に力を込めた。(江尾卓也)
(※引用元 スポニチアネックス)