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11歳上の先輩に勇気を持って…広島・中村奨成が會澤翼に見せた成長

2022年6月24日

11歳上の先輩に勇気を持って…広島・中村奨成が會澤翼に見せた成長

プロ野球選手も最初から勇敢なわけではない。入団からジワジワと膨らみ続けていた焦りが自らの殻を破るキッカケになることもある。広島・中村奨成捕手は、今年にかける覚悟に背中を押され、これまでには見られなかったような逞しさを身につけようとしている。

「思い切って…」先輩・會澤に頭を下げた日

自らを変える始めの一歩は、今春の日南キャンプだったかもしれない。バットを持つ手には汗をかき、少しばかり緊張しながら正捕手である會澤翼のもとに向かった。「アツさん(會澤)に聞きたいことがあるんですが……」。打撃指導をお願いしようと思い切って頭を下げた。

バットのヘッドを投手側に倒して構えるのが會澤と中村奨の打撃フォームの共通点だ。この構え方は、正しくバットを出せなければ、軌道が遠回りして速球に差し込まれる可能性がある。中村奨にとって、バットを鋭く振り抜く會澤はこれ以上ない手本。そうとは分かっていながら、これまでは質問をする勇気が出なかった。

「いままでの僕ならアツさんに質問するのも躊躇(ちゅうちょ)していたと思います。でも今年は勝負の年。思い切って聞いてみたいと思いました」

會澤との年齢は11年離れている。加えて入団から長く続いた2軍暮らしも正捕手の會澤を遠い存在にさせていた。その壁を乗り越えるために振り絞った勇気を知ってか知らでか、會澤は当然のように後輩の思いに応えてくれた。「ヘッドが(投手方向に)入っていたとしても、結局バットが通るところは同じだから。バットを振りにいこうとするのではなくて、グリップを(球に)ぶつけていく、落とすイメージ」。ポジションが重なることを気にせず教えてくれたことに感謝し、バットを振り込んだ。

昨季は構え方がしっくりこない時期もあった。そんなときは寮の自室で打撃映像に目を凝らした。その結果、構えた際のバットの角度が投手側に倒れすぎていると不振の原因にたどり着いたこともあった。「僕はヘッドを立てたまま構えるということができない。僕の打撃フォームは、アツさんと一番似ていると思ったので、どんな感じで打っているのかを聞いてみたかった。教えていただいた話を参考にさせてもらっています」。打撃フォームの試行錯誤を続けながら正捕手の背中を追いかけている。

會澤に何とか成長を見せることができた一戦

初めて1軍練習に参加したのは、3年目の20年春季キャンプだった。キャンプ中の捕手は、ブルペンで投手の球を受けたり、投内連携に入ったりと数カ所に分かれて練習をする。初めて會澤と中村奨が守備練習で同組になった日、會澤がホームベースの前に立つだけでナインに緊張が走るのを感じた。「空気が変わった。凄いな……ってビックリした」。当時は、會澤の背中をより遠くに感じていたことだろう。2軍に戻ると1軍のナイターをテレビでチェックし、會澤の配球をノートに書き込みながら学んだ。

そして今季から捕手としても出場機会を与えられるようになったことで、ようやく先輩から盗んだ技術を披露するチャンスがやってきた。6月2日の日本ハム戦では今季初めて先発マスクを託された。盗塁を2度阻止し、打っては5回の満塁機で走者一掃の二塁打を放つ大活躍。ただし、勝利まで残り1イニングとなった6―3の9回は任せてもらえずにベンチに下がった。代わりにマスクをかぶったのは會澤。抑えの栗林をリードして三者凡退と難なく試合を片付けた。

ベンチから試合終了を見届けた中村奨は、勝利のハイタッチの最前列に並んだ。すると、一塁ベンチ前にゆっくりと戻ってきた會澤が中村奨の前で右手をそっと差し出した。中村奨は喜びをかみしめるように両手でガッチリと握手。頭を下げると、「よくやった」とばかりにポンポンと頭をなでられた。尊敬する先輩に何とか成長を見せることができた一戦となった。

ドラフト1位で入団してから今季で5年目を迎えた。昨季にプロ初安打、初本塁打を決めて迎えた勝負の年。今年が今後のプロ野球人生を左右するような大切なシーズンになるかもしれない。「外野で結果を残せば、捕手でも出させてもらえるかもしれない。やっぱり一番は試合に出たいです」。試合に出る喜びを改めて実感する刺激的な日々もまた、自らの殻を破る力となる。(河合洋介)

(※引用元 文春オンライン

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