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新聞記者から『就任要請』、松田オーナーに託された3連覇の土台作り

2022年7月6日

新聞記者から『就任要請』、松田オーナーに託された3連覇の土台作り

2013年から広島の打撃コーチに就任した新井宏昌氏

オリックス、ソフトバンクでコーチ、2軍監督を務めた新井宏昌氏は2013年に広島の打撃コーチに就任すると、丸佳浩外野手(現巨人)、鈴木誠也外野手(現カブス)、菊池涼介内野手らを指導し、リーグ3連覇の土台を作り上げた。現役時代を含め、初めてのセ・リーグでは新たな発見もあったという。本人の証言をもとに振り返っていく連載の第15回は「縁もゆかりもなかった広島カープ」。

2012年はオリックスの2軍監督を務めていた新井氏。シーズンを終え、秋のフェニックス・リーグに向けた荷物出しを行っていた最中に、球団から来季の契約を結ばないことを通告された。何の前触れもなく、当初は驚いたというが「(開催地の)宮崎に行く前日だったので戸惑いましたが、私の指導者人生はこれで終わりかなと思いました」。60歳を迎えており、現場を離れる決意もできていたという。

神戸の自宅に戻り、数日間、ゆっくりと過ごしていたある日、突然、玄関のインターホンが鳴った。玄関先に訪れていたのは、広島担当の新聞記者だった。その記者から驚きの“オファー”が伝えられた。

「松田オーナーからの伝言で『カープで打撃コーチをやって頂けないでしょうか?』と。意思を確認したいとのことです」

縁もゆかりもない広島からのオファーに新井氏は「どうしてセ・リーグ? なぜ松田オーナーが?」と戸惑った。1994年から始まった指導者人生に一度は区切りを付けようと思っていたが、予期せぬ誘いに心は揺らいだ。半信半疑のまま広島に向かい、まずは松田元オーナーに事の経緯を伺うことにした。

松田オーナーから就任要請「言葉の使い方で選手の取り入れ方は違う」

広島のファーム本拠地は山口県岩国市由宇町にある由宇練習場。ウエスタン・リーグではオリックスの2軍と何度も対戦しており、その映像は本拠地・マツダスタジアムにいる松田オーナーにも届けられていた。

オリックスの2軍監督として選手に指導する新井氏の姿を何度も見ていた松田オーナーは「シンプルに教えている」と癖のない指導法を評価していた。だが、現役時代に自身と同じく中西太氏の指導を受けていた内田順三氏が2軍監督を務めており、新井氏は「同じ中西さんの教えを持っている、内田さんがおられるのに、なぜ自分が?」と疑問を持ったという

同じ打撃理論を持つ“中西門下生”がチームに重複することになる。新井氏はそこが気がかりだったが、松田オーナーの考えは違った。「指導の流れは同じかもしれないが、言葉の使い方で選手の取り入れ方は違う。是非、新井さんの言葉で選手に教えてください」と請われた。

高卒5年目のシーズンを終えた丸は「遠心力を使うスイングでハマれば飛ぶが、安定感はなかった」

当時の広島は1997年(3位)を最後にAクラスから遠ざかっていたが、若手にはポテンシャルの高い選手が多く、チームは転換期を迎えていた。松田オーナーからの就任要請を受け、新井氏はカープのユニホームを着ることを決断した。

「オリックスの2軍監督を務めていた時から『いいものを持っている選手が多い。自分だったらこうやって指導していくだろうな』と思っていました。初めてのセ・リーグでしたが、そこまで戸惑いもなく入れた。ちょうど還暦で赤いユニホーム、これも何かの縁かなと思った」

2012年、秋季キャンプから打撃コーチとして指導がスタートする。新井氏が若手メンバーの中で最も注目したのは高卒5年目のシーズンを終えた丸だった。「いいものは持っていたが、それを生かすことができていなかった。遠心力を使うスイングでハマれば飛ぶが、安定感はなかった」。まずは走力、長打力がありながら、1軍の舞台でくすぶっていた丸の打撃改造に着手していく。(橋本健吾)

(※引用元 Full-Count

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