鈴木は前半戦で54試合に出場し打率.272、6本塁打26打点をマーク
メジャーリーグは前半戦を終え、オールスター・ゲームでは各球団のスター選手たちが全米のファンを熱狂させた。いよいよ、勝負の後半戦がスタート。エンゼルスの大谷翔平投手と共に期待を集めているのが、カブスの鈴木誠也外野手だ。怪我から復帰した7月は好調を維持しているが、そこには復調のきっかけとなる出来事があった。
広島、日本の4番として活躍した鈴木は今季から5年8500万ドル(約101億2000万円)の大型契約でカブスに移籍。日本人野手のメジャー移籍時の契約としては史上最高額だった。怪我もありながら前半戦は54試合に出場し打率.272、6本塁打26打点をマークした。
広島時代に打撃コーチとして鈴木を指導した新井宏昌氏は、ここまでの活躍ぶりを「一時の不振、怪我もありましたが前半戦は素晴らしい活躍と言っていいでしょう。力のある球に負けずしっかりと捉えることができている。広角に低いライナー性の打球を続けていけば、後半戦も期待できる」と語る。
復帰直後の鈴木から1本のLINE「ポイントが近くなり過ぎてしまう時はどうしたらいいですか?」
開幕直後は華々しい活躍を見せ、4月のナ・リーグ月間最優秀新人(ルーキー・オブ・ザ・マンス)に選ばれるなど衝撃のメジャーデビューを飾ったが、他球団からのマークが厳しくなると徐々に不振に陥り5月下旬には左手薬指を痛めて負傷者リスト入り。約1か月の離脱期間を終え、7月に復帰した直後に新井氏は「復帰後の活躍お見事でした」と激励のLINEを送った。すると、鈴木からは、こう返信がきたという。
「ポイントが近くなり過ぎてしまう時はどうしたらいいですか?」
メジャー特有の動くボールに対応するため、打席の中で受け身になっていると感じていた新井氏。特に5月の結果が出ない時は打つべき球を見逃しカウント負けし、ボール球を振りにいって凡打する悪循環に陥っていた。教え子から“助け舟”を求められた新井氏は、驚きつつも自身が感じていた率直な思いを伝えた。
「メジャー1年目で初めて対戦する投手が多いと、どうしても受け身になる気持ちに陥ってしまう。勇気を持ってセンター方向へ低く強い打撃を打っていく。受け身にならず、自分から仕掛けていく気持ちが大事だと思う」
積極性を取り戻した鈴木は9日(日本時間10日)のドジャース戦でエース・カーショーと対峙。2回の第1打席では初球を叩き中前打。5回の第2打席でもカウント1-1からスイングし三遊間へ内野安打を放ちマルチを記録。さらに16日(同17日)のメッツ戦ではシャーザーから2安打とメジャーを代表する投手から快音を響かせた。
「トップレベルのカーショー、シャーザーから打てたのも偶然ではない」
開幕当初の輝きを取り戻した鈴木の姿に「アドバイスが功を奏したかは分かりませんが」と前置きしつつ「復帰後の打撃内容は良くなっている。トップレベルのカーショー、シャーザーから打てたのも偶然ではない。力負けせず、素晴らしい打球を飛ばしている。その姿を見て、今後もやっていけるんじゃないかと確信した」と、目を細める。
5月は21試合に出場し打率.203、0本塁打7打点だったが、7月はここまで13試合に出場し打率.356、2本塁打5打点と完全復活。後半戦もチームの主軸として更なる活躍が期待されている。
「打順に惑わされないで欲しい。4番を打つこともあるが4番目の打者という気持ちで。一発を打とうと思わず、鈴木らしい広角にライナー性の打球を打っていけばいい。打つだけでなく走塁、守備でも貢献できる。三拍子揃った選手はメジャーでも、そうはいない」
世界最高峰の舞台で苦しみながらも成長していく鈴木誠也。メジャー1年目を終えた時にはどのような成績を残しているのだろうか。後半戦も躍動する姿を新井氏は誰よりも願っている。(橋本健吾)
(※引用元 Full-Count)