プロ野球12球団は21日、臨時実行委員会を開き、22-24日に予定されていた中日―巨人3連戦(バンテリンドーム)の延期を決めた。巨人では3日間で計67人の新型コロナウイルス感染者が出ており、チーム編成が困難なため。活動を停止してPCR検査を続け、29日の後半戦開幕から試合を再開する予定。
また、オーナー会議後に、マイナビオールスターゲーム2022(26日=福岡ペイペイドーム、27日=愛媛・坊っちゃんスタジアム)を予定通りに開催する方針が示された。
プロ野球がコロナに翻弄されている。日本野球機構(NPB)と12球団はこの日の臨時実行委員会で、22日から予定されていた中日-巨人3連戦の延期を決めた。先立って開かれたオーナー会議で議長を務めた巨人の山口寿一オーナーはオンラインで記者会見し、「1軍と2軍で一気に感染者が増えてしまうことは想定していなかった」と驚きを隠せなかった。
チームでは19日に高橋ら選手、コーチ、スタッフを合わせてファームの計17人が陽性判定を受けた。20日には1軍の主力を含む計40人が感染。この日は164人を対象にPCR検査を実施し、新たに山口ら10人が陽性となり、わずか3日間で計67人が離脱した。支配下登録している69選手のうち、約半数の34人が感染した。
名古屋への移動も難しく、今季最多の借金5を抱えたまま、無念の前半戦終了。NPBの井原敦事務局長は「陽性者が大量で、チーム編成が極めて困難」と説明した。チームは今後の活動を停止して、検査を続け、球宴後の29日の後半戦開幕(対DeNA)から試合を再開する予定だ。
新型コロナの「第7波」の勢いは、とどまるところを知らない。日本国内でこの日に報告された新規感染者は18万人を超え、2日連続で過去最多を更新。3万1878人の東京も最多を塗り替えた。球界ではヤクルト、西武、広島、日本ハムでも集団感染が起き、新たにDeNA・ソト、中日・加藤翔らの陽性が判明した。プロ野球で7月以降に感染したのは214人(21日午後11時時点)となった。
スポーツ界では、米オレゴン州で開かれている陸上の世界選手権や大相撲の名古屋場所でも余波が広がっている。それでも、NPBは予定通りに26、27日の球宴は細心の注意を払いながら開催する方針だ。巨人は菅野、大勢、中田、岡本和、丸の5人がメンバーに選出されながら陽性が判明したが、井原事務局長は「代わりの選手で試合を行う」と見解を示した。
山口オーナーは「オールスターは必ず行う。ファンをがっかりさせない形で開催したい。そこは各オーナーの皆さん、同じ考えだと思う」と語気を強めた。野球を止めない。決意は揺るがないが、「1人感染、即全員検査」の対応は限界が見えてきている。
◆江本孟紀氏(本紙専属評論家)
「無症状の陽性者を増やすだけの検査に頼るのはやめて、プロ野球独自の運営ルールを作り直すべきだ。発熱などの症状のある選手だけを除外して、元気な人はプレーを続けられるようにする。たとえフルメンバーがそろわなくても、試合興行だけは止めない。国や東京都も行動制限や時短営業を求めているわけではないのだから、興行を続けられるルールに改め、プロ野球が萎縮した世の中をリードしてもらいたい」
(※引用元 サンケイスポーツ)