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クビ寸前からの首位打者、名伯楽も驚いた大器晩成・ヒットメーカー!

2022年9月21日

クビ寸前からの首位打者、名伯楽も驚いた大器晩成・ヒットメーカー!

巨人と広島で指導歴37年、多くの名選手を指導した内田順三氏が回想

今から18年前の2004年、高卒10年目の選手が遅咲きの花を咲かせた。広島・嶋重宣(現西武ファーム野手コーチ)は189安打、打率.337をマークして首位打者と最多安打のタイトルを獲得した。嶋の開花を手助けしたのが、名伯楽として名高い内田順三氏だった。ヤクルト、日本ハム、広島で13年間プレーし、指導者として37年。50年続けてNPBのユニホームを着た内田氏に、教え子や同僚の知られざるエピソードを聞いた。

「お前は1回引導を渡されているんだ。1年しかないぞ。もう何も失うものはない。腰が痛いのかゆいのなんて言ってたら終わりだよ。クビになれば、野球を続けたくてもやれなくなる。体がぶっ壊れても、しゃにむにバットを振りなさい」

2003年オフ、内田氏は嶋を呼び出して伝えた。当時、嶋は戦力外通告を受けてもおかしくない立場だった。宮城・東北高で本格派左腕として甲子園に出場し、投手として1994年ドラフト2位で広島に指名されたが、1999年に野手に転向した。2002年に2軍で最高出塁率のタイトルを獲得したものの、1軍にはなかなかお呼びが掛からず、2003年は2打席立っただけだった。球団は嶋の解雇を検討していた。だが、内田氏は「嶋を置いて下さい」と球団に要望し、了承された。野球人生はギリギリつながったが、もはや後がない状況だった。

広島のコーチを歴任後、内田氏は1994年から2002年まで巨人のコーチを務め、2003年に1軍打撃コーチとして再び赤いユニホームに袖を通した。2001年から2度目の監督を務めていた山本浩二氏の要請を受けての復帰。1シーズンを過ごして迎えた秋季キャンプでは、球団や監督から「打撃のことは全て任せる」と“全権”を得ていた。そこで目に留まったのが嶋。「ボールのとらえ方が柔らかい」。期待の若手選手もいたが、それらの選手と比較しても、当時27歳の嶋に可能性を感じた。「若手の成長には時間がかかりますから。今いる選手を生かさないといけなかったのです」。それが嶋の“逆転残留”の理由だった。

2004年開幕3戦目で中日・川上から一発、レギュラーを手中にした

左打者の嶋には明確な弱点が2つあった。左投手が投じる内角に対してはかかと側に体重が掛かってしまい、アウトコースをより遠くに感じてしまう。そして、腰痛を抱えていた。内田氏は練習に工夫を凝らした。マシン打撃では、体に当たるようなボールを打たせて回転運動を染み込ませた。体調に関しては一切手加減なし。トレーナー陣も嶋の立場と内田氏の姿勢を理解し「先がある選手ならば休ませるのもありだけど、嶋は勝負の時。どんどん使ってください。ケアは私たちがやります」と支えてくれたという。

背水の陣で臨んだ2004年シーズンはオープン戦途中で中盤で“危機”を迎えた。シーズン開幕に備えて、実績ある高いレベルの投手の登板が増える時期。キャンプからの疲労も出てくる。しかも相手先発は課題としている左腕。山本監督から内田氏に「きょうは嶋は休ませるぞ」との指令が出た。ところが、代わって出場するはずだった選手2人が背中の張り、膝の痛みを訴えた。「もういいわ、嶋で」。山本監督の指令により、“逆転”でスタメン機会が巡ってきた。

この機会を逃さなかった。3安打。苦手とされていた左腕にも対応できることをアピールした。「これも運です。ラッキーでした。それまでのシーズンは代打や控えに回り、出場機会が少なくなってきてファーム。この年は打ったから1軍に残りました」と内田氏は回想する。

開幕1軍メンバーを勝ち取り、迎えた中日との開幕シリーズ3戦目。相手先発は川上憲伸だった。右腕の代名詞とも言えるカットボールがインコースに食い込んできたが、これを鮮やかにとらえて右翼ポール際のスタンドに運んだ。「ウチ、今年の嶋はいけるぞ」。内田氏は山本監督が叫んだ光景をはっきり記憶する。「やはり、一流の目は違います。あのボールを打ったので監督は使い続け、嶋もどんどんヒットを積み重ねていきました」。嶋は信頼を勝ち取り、ライトのレギュラーを手中にした。

10年目で首位打者&最多安打「先入観を持ってはいけないと教えられた」

189本のヒットを重ねて、.337で首位打者と最多安打のタイトルを獲得した。同じ背番号55で左打者。巨人からヤンキースに進んだ松井秀喜外野手の愛称「ゴジラ」をもじり、「赤ゴジラ」と呼ばれた。選手生命の瀬戸際からタイトルを獲得するという“シンデレラストーリー”も加味され、赤ゴジラ旋風が球界に巻き起こった。

嶋が広島に入団した当時、内田氏は巨人の指導者。広島に戻った当初は、嶋の実績や特徴などをほとんど知らなかった。「だから先入観がなく新鮮な目で見ることができました。嶋が10年目でタイトルを獲ったことで『先入観を持ってはいけない』と教えられました」。

嶋は2012年に西武に移籍し、2013年に現役引退。2014年から西武でコーチを務めている。嶋から相談を受けたこともあったそうで、内田氏は決まってこう言ったという。

「お前がやってきたことを西武で教えればいいんだ。首位打者になった時にどれだけバットを振ったんだ。バットマンはバットを振ったもん勝ち。それを選手に伝えればいい」

内田氏の指導技術と熱いハートは教え子に受け継がれ、プロ野球界に広がっている。時代は流れ、今年日本ハムの松本剛外野手が怪我で苦しみながらも高打率をマーク。松本は過去に規定打席到達が1度だけ。11年目の今季に一気に開眼した。2004年の首位打者だった嶋も、10年目の遅咲きで初めて規定打席をクリアした。指導者や考え方の変化……いつ選手が“化ける”のかはわからない。

「嶋は化けましたね。そしてもう1人化けたのが新井」。次回は広島、阪神で通算2203安打を記録した新井貴浩について聞く。

(※引用元 Full-Count

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