広島・佐々岡真司前監督(55)の〝レガシー論争〟に一石を投じた。3日に広島市内のホテルで行われたOB会の冒頭。あいさつのため壇上に立った新井貴浩監督(45)が集まった約90人の前で力強く言い切った。
「佐々岡前監督が退任会見の時に『チームに残したものは何もない』とおっしゃっていたが、私はまったくそうは思っていない。佐々岡さんの起用のおかげで芽が出始めている。その芽をきれいに咲かせていけるように頑張っていきたい」
発端は10月3日のマツダスタジアムでの佐々岡前監督の辞任会見後の新聞・通信社の囲み取材だった。記者からの「(監督としての)3年間を振り返りチームに残せたものは」の問いに佐々岡前監督は「自分の中ではない。(だから)チームを辞めないといけない」と回答。3年間は5、4、5位と振るわなかったが、チームの責任を一身に背負う発言は賛否両論を巻き起こした。
確かに佐々岡政権は3年連続Bクラス(4位以下)に終わったが、2016─18年のリーグ3連覇に貢献した主力の移籍や故障、不振が相次ぎ、チームは変革期を迎えていた。新井監督は「過渡期を迎えていたし、コロナ禍の大変な状況での監督就任。大変なご苦労をされていたと思う」とおもんぱかる。チームが掲げる「育成と勝利」の両立は道半ばとなったが、森下、栗林、坂倉ら若きスターが誕生したのも事実である。
「リーグ3連覇の前は私の(駒大の)先輩である野村謙二郎さんが監督だった。優勝はできなかったですけど、緒方さんにたくさんの選手を残しました。私が頑張って結果を出すことで、苦しんだ佐々岡さんは喜んでくれると思っています」
10~14年の野村政権時に若手を積極起用したことで16年の25年ぶりのリーグ優勝につながったとの声がある。過去は未来で変わる。当日のOB会に佐々岡前監督は出席していなかったが、新井監督の決意はきっと胸に届いているだろう。(柏村翔)
(※引用元 サンケイスポーツ)