昨年6月末、秋山翔吾がチームの一員として加わった。当時は首位・ヤクルトに10ゲーム差以上離されていたとはいえ、まだCS圏内の3位。だが、最下位・中日と1ゲーム差の5位でシーズンを終えた。22年を振り返って「秋山加入」を上回るトピックスは、なかった。
秋山自身、「加入」を上回る輝きは放てなかった。得点圏打率4割の勝負強さは見せたが、へんとう炎などによる2度の離脱もあり、44試合で打率2割6分5厘。「ここでできなかったら再来年もできない。ボロボロになって目減りして終わりそう」。口にするひと言ひと言に、35歳シーズンの今季が正念場、という覚悟がにじみ出る。
引退―。当然まだ先ながら、その2文字もかすかに脳裏をよぎる。「プレー中は年齢を考えないけど、そういう年齢に差し掛かっている」。23年シーズン以降のさらに先も見据えた上で「踏ん張るというより、グッとアクセルを踏めるような準備を」と現状維持でなく、進化を求めてオフを過ごしている。
西武時代の19年に打率3割3厘、20本塁打という成績を残して海を渡った。当時の成績は「簡単ではない」としつつ、そこは一つの指針。渡米前、5年連続で全試合フルイニング出場したことも同様だ。「途中交代OKの考えは、選手生命を脅かす。若い選手も出てくる。そうして“代謝”が早くなっていった選手を見てきた」。今季、若手を蹴散らすぐらいの思いでグラウンドに立ち続ける。(畑中祐司)
(※引用元 スポーツ報知)