絶対に踏ん張らないといけない登板だった。9月13日の阪神戦(甲子園)に先発した大瀬良大地は、4回1/3を5失点。巨人との首位攻防3連戦で3連敗を喫した直後の試合。
先に援護点をもらいながら2回に押し出し四球で同点を許し、その後も阪神打線の流れを断ち切れず。守備陣の乱れや不運な安打もあったが、今季22戦目で初めて5回を投げ切れなかった。「この時期になると結果がすべて。結果で示したかった」。優勝争いから大きく退く、あまりに重い1敗だった。
首位で9月を迎えたチームの好調を支えたのは、投手陣を含めたディフェンス力だ。大瀬良はその中心にいた。8月上旬まで防御率0点台をキープ。白星が伸び悩んだ時期もあったが、8月終了時までで6勝3敗だった自身の先発試合は、チームとしては14勝4敗2分け。勝利に導く役割は十二分に果たしてきた。
巨人との首位攻防戦から始まった正念場の7連戦初戦の試合前、新井貴浩監督はナインを集めた。「結果はどうなろうが、ボールに魂を込めて。最後の最後は、やっぱり気持ちだと思う」。その言葉はむなしく、7連戦はドラフト1位ルーキー・常廣羽也斗がプロ初登板で5回1失点と粘って手にした1勝だけだった。
若いチームとはいえ、大瀬良を含めて2016~18年のリーグ3連覇を経験したメンバーもいる。だが、当時と状況は違う。大瀬良は「こういうしびれる優勝争いの場面はなかった。良くも悪くも、経験としてやっていかないといけない」。チームが成長するため、エースを筆頭に全員でこの苦しみと向き合っていく。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)