チームの大失速を象徴するように、末包昇大のバットはシーズン最終盤にパタリと止まった。
8月17日のヤクルト戦(神宮)の1試合2発で2年連続の2ケタ本塁打に王手をかけながら、その後は138打席ノーアーチで閉幕。「(状態が)悪い中でも、打っていたら勝っていた試合もあったと思う」。悔しさだけが最後に残った。
2021年秋のドラフトで6位指名されて大阪ガスから入団。1年目のオープン戦から四番を任されるなど“ポスト鈴木誠也”の期待を背負った。
昨季は球団2年目では13年の菊池以来となる2ケタ11本塁打をマーク。飛躍の兆しは見せたが、今季は開幕前の左膝故障で出遅れると、左太もも裏肉離れの離脱も。打席数304は昨季から倍増させながら、結果がついてこなかった。
「一つずつ歯車が狂っていくような感じだった」
そう振り返る9月以降は、打率.165(91打数15安打)の一方で“三振率”.376(35三振)。焦れば焦るほどボールを見極めることができず、ことごとくバットが空を切った。
このオフは早速、打撃フォームの「フルモデルチェンジ」に取り組んでおり、新井貴浩監督は「幹を強く太くすれば、すべてがそろう」とマツダ広島での秋季練習では連日、熱血指導を繰り広げている。
来季で29歳を迎えるとあって、もう若くはない。「春のキャンプから変わったなって言ってもらえるように」と、ゼロからの再出発だ。
今季は助っ人の不発が誤算だったとはいえ、ともにリーグ最低に終わったチーム打率.238、52本塁打の改善なくして、巻き返しはない。この男の覚醒は絶対に欠かせない。
(※引用元 週刊ベースボール)