日本の快進撃は、大一番であっけなく食い止められた。11月24日、野球の国際大会「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」は決勝戦が行われ、日本代表を0-4で台湾代表に敗戦。国際大会27連勝中だったチームは優勝を文字通り目の前にして辛酸をなめた。
侍ジャパンは打線の核となる村上宗隆(ヤクルト)と岡本和真(巨人)らが故障等により招集を辞退。それでも他国よりも多くのタレントを抱え、「優勝最有力」と見られていた今大会は開幕から地力の強さを発揮。8連勝で決勝までは勝ち進んだ。
それでも最後の最後に勝てなかった。台湾は大会中に2度の勝利を収めていた相手だったが、決勝では攻守両面で圧倒された。
打っては相手先発で、MLBのダイヤモンドバックス傘下に所属するトッププロスペクトでもあるリン・ユーミンに手も足も出ず。わずか4安打に封じ込まれた。一方で守備では若きエース・戸郷翔征(巨人)が4回まで6奪三振の好投こそしたが、直球を狙い撃ちされた5回に先制ソロを含む2発を浴びて一挙4失点を喫した。
先述のメンバー構成を含めて「言い訳」を探せばいくつもある。その中でチームの熱量に差が出たのは明白だった。
レギュラーシーズンを終えたばかりの選手たち、ひいては球界全体に勝利への執着心が台湾ほどにあったかと言えば、疑問符が付く。どうしてもWBCよりも下の位置づけとなるプレミア12は代表レベルにおける若手の育成と見定めの場という印象が強い。そのため、1勝に対する想いの差が生じた感は否めなかった。
そうした状況での1敗をどう捉えるか。ともすれば、8勝1敗で上出来だと捉えることもできる。
興味深かったのは、選手たちの悔しさを噛みしめていた姿だ。大会のベストナインにも選出された正捕手の坂倉将吾(広島)は言う。
「申し訳ないなという気持ちですね。プレッシャーっていうものもあれば、決勝っていう雰囲気もあった。ただ、色々な要素が絡む中でプレーするのが世界だと思っているので…。やっぱり日本は勝たなきゃいけないというのを、負けてみて、あらためて経験できたと思う」
どれだけ勝ち越していても、大会レギュレーションが現行のルールである以上は決勝で「負けてしまったら意味がない」(坂倉)のである。だからこそ、選手たちが1勝にこだわる姿を見たかった。
「歴史は勝者によって語り継がれていく。敗者であるより、勝者たれ」とは通算1687勝勝を収めた名将・三原修の言葉だ。世界の進化を目の当たりにしたこの台湾戦は、侍ジャパンにとって、百戦錬磨の勝負師の金言が染みる日になったと言えよう。
(※引用元 CoCoKARA)