背水の立場にある、35歳のベテランだ。
田中広輔は「ケガをしたら引退なので、まずはケガをしないこと。文句を言われないくらい打ちたい」と、現役生活を懸けて12年目の来季へ臨む覚悟を示した。契約更改交渉では「結果がすべて」と、減額制限を超える提示を受け入れた。
シーズン15安打は2022年の8安打に次ぐ少なさ。今季5000万円から40%ダウンの年俸3000万円で契約更改(金額は推定)。
鈴木清明球団本部長は「厳しい提示になったが、それをどう感じてやるか。切羽詰まった状況。若手との競争にもなるが、頑張ってほしい」と奮起を求めた。
「今年経験したことで、そのしんどさも大変さも分かった」というのは、代打という役割だ。
「本当に、あの1打席だけという特別なポジション」
リーグ3連覇時(16~18年)は不動の遊撃レギュラーとして君臨したものの、近年は一塁、三塁も守る。
今季はレイノルズ、シャイナーという内野の助っ人2人の不振もあり、割って入る“隙間”はあった。しかし打率は.156にとどまり、代打では、31打数2安打で打率.065と結果を残せなかった。
新井貴浩監督は来季に向けて『変革』を掲げる。若返りも加速しかねない。鉄壁内野陣にドラフト1位・佐々木泰(青学大)も加わる。
「いろいろな立場で結果を出すために技術はもちろん、精神的なところも落とし込みながら、今年感じた練習の仕方を変えようという思いもある」と、巻き返しに動き始めている。
「打てないと試合に出られないのは、ここ数年を見て分かること」
意地を見せて、もう一花咲かせてみせる。(写真=井沢雄一郎)
(※引用元 週刊ベースボール)