阪神が打ち出した「チームプレーの査定強化」に、球界内から「何をいまさら」との声が漏れ出している。さる球団の査定担当経験者は、アキレ顔でこう話す。
「いったい、いつの時代の話をしているんですかね。進塁打など数字には残らないプレーにプラスポイントをつけるのはあたり前のこと。どの球団でも、もう何十年も前からやっていますよ。なんで今なんですか」
球団ごとに違いはあるが、選手の査定項目は何百にも及ぶ。目に見えない部分の査定見直しには、他の項目との整合性をつけなくてはいけない。一朝一夕にできる作業ではないのだ。
岡田彰布前監督の下、阪神は四球も安打1本と同じ扱いをする方針を打ち出し、38年ぶりの日本一へのモチベーションになった。今回の「チームプレーの査定強化」は、その2匹目のドジョウを狙ったものだろう。だが、それは逆に「今まで阪神はそれだけチームプレーが徹底していなかった、と白状するようなもの。チームが未成熟だと言っているのと同じだ。スポーツ紙遊軍記者が言う。
「本当に強いチームは、選手個々が自分の役割を理解しているもの。しかも査定のポイントなんか気にしてプレーしていませんよ」
球団OBも首をかしげるのだ。
「ここで進塁打を打ったからポイントが上がった、といって喜ぶ選手がいるのか」
強力な投手陣を武器に、来季もペナントレースでは優勝争いに割って入りそうだが、野球はそれほど甘くない。連覇を狙う巨人は、ライデル・マルティネスや甲斐拓也などを補強。その他のチームも戦力アップに余念がない。
一方、阪神は現時点で、当たり外れのわからない新外国人を補強したのみ。現有戦力の底上げで、V奪回を目論んでいる。査定の見直し以外にも、まだやらなくてはいけないことがありそうだが…。(阿部勝彦)
(※引用元 Asagei plus)