怪腕への逆風はやはり収まる気配がない。2023年にDeNAでプレーしたトレバー・バウアーである。
その実力に疑いの余地はない。10勝(4敗)、防御率2.76を記録したDeNAを退団して鳴り物入りで飛び込んだメキシカンリーグのメキシコシティ・レッドデビルズでは14先発、83回1/3を投げ、10勝0敗、防御率2.48、奪三振率13.00、WHIP1.04と無双。同リーグの年間最優秀投手賞に選ばれた。
MLB球団のスカウト陣へ力を示す、いわば“品評会”的な目的で渡ったメキシコで異彩を放ったバウアー。DeNA時代と同様に単年契約を全うした今オフは、米球界復帰の道を模索しているが、依然としてオファーは舞い込んでいないという。
20年にサイ・ヤング賞を手にした実績と現状のレベルを考えれば、MLBでもやれるだけのポテンシャルはある。それでもバウアーの下にオファーがこないのは、過去の問題行動が小さくない影響を及ぼしているからだ。ドジャース時代の2021年に起きた女性とのトラブルにより、MLBのDV規定に違反したとして194試合の出場停止処分(後に軽減)などを受けた。
その後、当該女性とは和解が成立。しかし、「問題児」のレッテルを貼られたバウアーに不信感を募らせるMLBのオーナー陣は少なくなく、いまも問題が尾を引いている感は否めない。
にっちもさっちもいかない状況には、交渉を担う代理人も頭を悩ませる。
米ポッドキャスト番組「The Big Leagues Daily」で司会を務めるダン・クラーク氏のXでの「バウアーは、ほとんどのMLBチームでローテーションを務められるだけの能力を依然として持ち合わせている。しかも、本人はリーグ最低年俸でプレーすると言っているのだ。ローリスクの1年契約がオファーされていないことは不条理だ」との投稿に反応した代理人のレイチェル・ルーバ氏は、やりきれない思いを綴っている。
「正直に言うわ。彼はほとんどのチームMLBでローテーションの1番手か2番手を務めるだけの能力を依然持ち合わせているわ。でも、99%のGMはそれに反論しているの」
DeNAとの電撃的な再契約も囁かれるなど、日本でも注目を集める怪腕の去就はいかなる決着を見るのか。33歳の決断には世界的な熱視線が注がれそうだ。
(※引用元 CoCoKARA)