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渡邉恒雄さんに、長嶋茂雄がクギを刺していたら野球界は変わっていた

2025年1月11日

渡邉恒雄さんに、長嶋茂雄がクギを刺していたら野球界は変わっていた

「みんなでやる」という意味

今の野球界は「みんなでやる」という意味が分かっていない。秋季キャンプを見ていても、全体で歩調を合わせて帽子をかぶる、統一されたユニフォームを着るといった習慣がない。自分のチームの正規のユニフォームを着ない選手や帽子をかぶらない選手が目についた。それぞれ勝手な身なりで練習。ユニフォームに対する誇りがない。

ウォーミングアップにしても、みんなが同じメニューに取り組むところに値打ちがある。にもかかわらず個人個人がバラバラにやっていたら、チームの統率、誇りなど生まれるわけがない。

練習内容にも疑問を呈したい。10メートルくらい走っただけで歩いて戻ってくる。その後、グラウンドに寝転んでストレッチ。スタミナがつくはずがない。

本当は野球界で恩恵を受けている評論家がこういうところを指摘していかなければいけない。しかし、現実はろくに勉強もせずに、球団に都合の良いことを言っていれば評論家になれる世の中だ。

田中、甲斐を獲得した巨人

巨人はキャンプテン制度を廃止した。誰が統率するのだ。

しかも今オフは楽天を自由契約になった田中将大と契約。ソフトバンクからFAした甲斐拓也も獲得した。

メジャー・リーグでは特定のチームが勝つだろうとなったら、ファンは誰も球場へ足を運ばなくなる。だからFAで選手を獲得した場合、その選手が所属していた前球団へドラフトの指名権が譲渡される。それが平等なのだ。

ところが、日本の場合は、戦力格差にメスを入れようとしない。

他球団の選手を獲ってありがたがっているのは、コミッショナーや球団オーナーが何も分かっていない証拠だ。現状のFA制度が野球界にどんな影響を与えるか、どうしたら野球界が平等になるか、そして人間が年を取ったらどうなるか。何も考えていない。ただ単にメジャーの表面だけをマネしているだけだ。もう少し勉強しろと言いたい。戦う前から差がつくようなルールを作ったらいけないということなのだ。

田中と甲斐が巨人に来ることで、彼らの経験談を聞ける絶好のチャンスだと言って巨人の選手たちは歓迎しているが、それは既存の指導者が何も教えてこなかった証拠だ。情けないと思わないのか。

正捕手としてソフトバンクを勝たせた甲斐はともかく、田中など日本球界復帰後、何勝したのか。どんなに優秀な選手でも年を取れば老いていく。私が再三述べている自然の法則には逆らえないということを、認識すべきだ。

甲斐を獲ったのも、阿部慎之助監督が次代の正捕手を育てていなかったことを物語る。FAはルール違反でないとはいえ、それでは昨季チャンスをもらってプレーした岸田行倫はどうなるのか。希望がない。

絶対的な権力

ところで昨年暮れに元巨人のオーナーで絶対的な権力を誇っていた読売新聞の渡邉恒雄主筆が亡くなった。生前、私は渡邉さんから直筆の手紙をもらった。そこには「私にもう少し力があれば、あなたを監督にしていた」と書いてあった。お中元やお歳暮も送ってきた。ところが、私は遠慮なく「巨人はこうあるべきだ」と耳に痛いことを書くから次第にそれもなくなった。

巨人のフロントはみんな渡邉さんの力で重役になる。しかし野球の現場は職人揃い。そこに読売の組織論は当てはまらない。長嶋茂雄(巨人軍終身名誉監督)が目に余るFA補強に「それではいけません」とクギを刺していたら、渡邉さんは頭の良い人だけに、野球界は変わっていた。少なくとも今の巨人のように堕落することはなかった。

(※引用元 週刊ベースボール)

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