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カープ女子は知らない「昭和の広島ファン」が起こした『暴動事件』!

2025年5月5日

カープ女子は知らない「昭和の広島ファン」が起こした『暴動事件』!

昭和から平成にかけて、試合中や試合後に多数のファンが暴徒と化して起こした事件を紹介する特別企画。第2回は1976年4月16日の広島対巨人の試合終了後に起きた、巨人の選手と広島ファンの警察沙汰にもなった大騒動をプレイバックする。【久保田龍雄/ライター】

国籍絡みの心ないヤジの数々…

前年、球団創設26年目で悲願の初優勝を実現した広島は1976年シーズン開幕後、連覇を期待するファンの思いとは裏腹に、後楽園で巨人に3タテを食うなど、7試合を消化して0勝5敗2分と大きく出遅れた。

そして、ファンの溜まりに溜まったフラストレーションが、地元・広島で開催された巨人戦で一気に爆発する。

中でも彼らの憎悪を一身に集めたのが、この年日本ハムから巨人に移籍した張本勲だった。同じ広島県出身者でありながら、敵チームの一員になった張本は“裏切者”と見なされ、パ・リーグ時代の“暴れん坊”のイメージも相まって、カープファンの多くが反感を抱いていた。

さらに張本は、4月10日からの後楽園3連戦で9打数6安打4打点と打ちまくり、広島3連敗の大きな要因となっていただけに、ファンの悪感情も一層高まり、広島市民球場は試合前から不穏な空気が漂っていた。

一方、張本にとって、この日はプロ18年目で初めて故郷・広島で行われる公式戦とあって、母・順分さんと兄・世烈さんをスタンドに招待し、巨人のユニホームを着て故郷に錦を飾るのを楽しみにしていた。

ところが、待っていたのは、広島私設応援団による「暴力選手はセ・リーグから追放せよ!」の横断幕をはじめ、国籍絡みの心ないヤジの数々。張本がレフトの守備につくと、スタンドから空き瓶やラジオが飛んできた。

長嶋監督を守るために応戦

サンデー毎日6月20日号によれば、スタンドで観戦していた順分さんは、あまりのヤジのひどさに「息子が何でこんな目にあわねばいけんのか?」と悔しがったという。見かねた世烈さんが、目に余るヤジを飛ばしているグループに「民族的な中傷だけはやめてください」とお願いすると、「オレたちはバクチでカープに随分賭けとるんじゃ。お前ら銭払うてくれるんならやめたる」と取り合ってもらえない。不愉快になった世烈さんは7回表で観戦をやめ、順分さんとともに球場を出てしまった。

そして、最終回に事件が起きる。2点を追う巨人は最後の粘りを見せ、1死満塁から末次利光の中犠飛で1点を返したあと、なおも2死一、二塁で、山本功児が中前安打を放つ。

二塁走者・土井正三が本塁にスライディングし、タイミング的にはセーフに見えたが、柏木敏夫球審はアウトを宣告した。土井は怒ってセーフをアピールし、長嶋茂雄監督がベンチを飛び出して執拗に抗議すると、観衆もエキサイト。三塁ベンチの上からグラウンドに飛び降りた男性ファンが鉄の棒を手にして長嶋監督に襲いかかり、一塁側スタンドからも呼応するように約30人のファンが乱入した。

直後、張本、柴田勲らが長嶋監督を守るために小突くなど応戦した際に、男性ファンが鼻血を出したことから、「あれほどまでしなくても」と観衆もさらにヒートアップした。

「張本がバットで殴った」と大騒ぎに

試合終了後、球場前に停めてあった巨人のバスに約500人が押し寄せ、ステップに足をかけていた張本に襲いかかる。張本は「やめろ!」と手にしていたバットを向けたが、それでもファンは殴りかかってきた。バスの中から長嶋監督が「構うな。バットを振ってはいかん」と大声で制止する。バスにも瓶や小石が投げつけられ、窓ガラスが割れた。

そんな混乱状態の中で、張本に「謝れ!」と突っかかったAさんが頭などに負傷して病院に搬送された。群衆に押し出される形でバスの前にいたBさんも、窓から突き出された2、3本のバットが当たり、左目の下を4針縫うケガを負った。激高したファンたちは「張本がバットで殴った」と騒ぎ立て、約1時間にわたってバスを取り囲んだ。

また、バスに乗り遅れた王貞治、土井、山本、国松彰コーチの4人は、三塁側シャワー室に避難して、騒ぎをやり過ごした。

広島市民球場では、前年9月10日の中日戦でも両軍ナインの乱闘がきっかけで2000人のファンが暴徒化し、谷沢健一、星野仙一ら中日の選手・コーチ9人が負傷する事件があったばかり。同球場では「警備に自信がない」という理由から、翌日の同一カードを中止にした。群集心理の恐ろしさだが、前年の教訓はまったく生かされなかった。

翌日の地元紙は「張本、ファンに暴行」と報じ、全国紙も「巨人軍選手が殴る ファンをバットで」(朝日新聞)の見出しで報じるなど、事件の波紋は広がる一方だった。

選手が傷害容疑で取り調べを受ける事態に

ファンから訴えを受けた広島西署は4月19日、張本を傷害容疑で取り調べた。「(バットで)殴ったなんて、とんでもない。急にファンに取り囲まれ、殴られたり、突かれたりした。やられたのは僕のほうだ」と張本は暴行を否定したが、広島県警は目撃者の供述をもとに5月18日、傷害容疑で広島地検に送検した。

だが、その後、張本が襲ってきたファンを手で払いのけた際に別の選手がバットで頭を叩いたことも判明し、8月23日、「夜間の異常に混乱した中で瞬間的に発生した事件であるため、目撃者の証言が細部で矛盾したり、途中で変わったりした」などの理由から証拠不十分で不起訴になった。

かつての暴れん坊も「(6月の)公判のとき、検事さんが『真実はひとつしかない』と言ってくれた。その言葉を信じてきた」と神妙そのものだった。

本拠地がマツダスタジアムに変わり、“カープ女子”の出現以降、昭和期の“気の荒いカープファン”のイメージも、すっかり過去のものになった感がある。

(※引用元 デイリー新潮

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