「FRIDAYさんじゃないですか! 待ってましたよ!」
思いのほか明るい登場だった。本誌記者がマツダスタジアムを訪れた5月上旬、広島カープは7連敗中だった。シーズン序盤から坂倉将吾(26)や秋山翔吾(37)、エレフリス・モンテロ(26)を故障離脱で欠いたチームには、重苦しい雰囲気が漂っていたのだが……。
「まぁ、過ぎたことを悔やんでも仕方ないでしょ。周りの皆さんがどう思っているかはわからないけれど、これだけ主力にケガ人が出ている中で、勝率を5割前後でキープできているというのは、自分としては“御の字”だと思っていますね。年間143試合あるわけだから、まだ焦るタイミングじゃない。
シーズン序盤というのは、レギュラーに固定されていない選手にとってこの上ないチャンスなわけですから。もし主力がケガをしても、『僕が出るんで休んでいてくださいね』って言える若手が増えてほしいですね」
「あれは自分のミスでした」
飄々とした表情から紡ぎ出される新井貴浩(48)の言葉の裏には、昨シーズンの反省が滲んでいる。’24年の広島は、大瀬良大地(33)、九里亜蓮(33)、床田寛樹(30)、森下暢仁(27)の先発4本柱が獅子奮迅の活躍を見せ、堅い守りでロースコアゲームを制して勝ち星を積み重ねた。
8月には貯金を14まで増やし、首位で終盤戦を迎えたのだが、9月に大きく失速し、月間20敗で4位に後退。代わる形で3位に入ったDeNAは、見事な下剋上で日本一を達成した。
「あれは自分のミスでした。一昨年は夏場に主力野手が相次いで離脱してしまったので、同じミスを繰り返さないよう、シーズン中からベテラン野手を休ませつつ、若手選手にチャンスを与えて全員の体力を温存したんです。広島はセ・リーグの中で最も移動が多い球団ですからね。
自分の中では上手くいったと思ったんですが、9月に『よし、これからエンジン全開で行くぞ!』となった時に、今度は選手たちのメンタルが疲労困憊になってしまった。体力は残っていたのに、いいパフォーマンスが出せなかったんです」
特に顕著だったのは、投手陣だった。8月まで2点台だったチーム防御率は、9月には4点台まで悪化した。
「8月中旬になってから、各チームが先発ローテを変更してきて、エース級のピッチャーを首位のカープにぶつけてくるようになった。巨人の戸郷翔征(25)やDeNAの東克樹(29)、中日の高橋宏斗(22)と対戦するとなると、ウチの投手陣は初回から“1点もやれない”という精神状態でマウンドに上がる。こういった試合が続いたことで、精神的にかなり疲弊し、気持ちの切り替えが難しくなってきてしまったんだと思います。
だから今年は、とにかく打線の得点力を上げていきたいです。バッティングは一朝一夕で向上するものではないので、自分としても我慢強くなる必要がある。レギュラーが不調なら、若手にチャンスを与えて、打線やチーム全体の底上げを図っていきたい」
(※引用元 FRIDAYデジタル)