広島が前日に続いての1点差逃げ切り。立役者となったのは先発のルーキー左腕・佐藤柳之介投手だった。6イニングを2安打零封。プロ初登板を見事に初勝利で飾った。「そりゃ、うれしいでしょ。最後は緊張の連続だったでしょうからね」と話したのは中日スポーツ評論家の川上憲伸さんだ。
8回には1死二、三塁で岡林の左中間への打球を中堅の大盛がダイビングキャッチ。9回は先頭の上林の二ゴロを菊池が俊敏な動きで間一髪アウトにし、最後までリードを守り切ってくれた。だが、ベンチで心臓をバクバクさせながら見守った初勝利こそ、佐藤柳には貴重な経験になったと川上さんは言う。
「1軍で初めて投げて『プロの守備力は大学時代と全然違うな』と実感したはず。僕がプロに入ったときも、まず驚いたのは内野安打になる打球がアウトになる守備力。それに捕手の肩の強さ…。こういう感覚が野手との信頼関係になるんです。調子が良いときばかりじゃない。『きょうは球が走っていないから、バックを信頼して打たせていこう』とかね」
投球自体も「ストレートは140キロ前半。特に速いわけではないけど、独特の回転をしているんじゃないかな。打者がみんな差し込まれている感じで、窮屈に振っていましたから。これで変化球が低めに安定してくれば、もっと三振も増えるし、長いイニングも投げられるようになると思いますよ」と評価した川上さん。広島にまた一枚、貴重な左腕が加わったことは確かだ。
(※引用元 中日スポーツ)