
広島カープは今季、最下位ヤクルトにわずか1ゲーム差の5位でシーズンを終えた。2年連続Bクラスという結果に、マツダスタジアムの最終戦セレモニーでは、スタンドから怒号が。重い空気が漂った。
そんな中で、新井貴浩監督は来季に向けた決意を語っている。
「チームは今、変革期にある。新しい力が生まれる時には苦しみが伴う。来年以降もその苦しみは続くと思う。そこから逃げず、忍耐強く立ち向かっていきたい」
若手を中心に据えたチーム作りを進めてきたものの、結果は出なかった。指揮官の言葉には、現実を受け止めた上での覚悟がにじむ。
スタンドからは「また苦しまなければならないのか」と不満の声が上がる。ファンとの温度差が浮き彫りになった。この日は退団が発表された田中広輔も最後の挨拶に立ち、
「来年はもっとスタジアムが満員になるような野球をしてください」
と呼びかけた。長年チームを支えた田中らしい言葉ではあったが、ファンの胸中は複雑だ。
明るい話題といえば、小園海斗の首位打者と最高出塁率の2冠のみ。打線のつながりを欠き、投手陣は安定しなかった。
「カープは大きな家。選手は家族であり、嫌いなやつはひとりもいない」
そう語ってきた新井監督の温かさはチームの支えになった一方で、競争の厳しさをどう植えつけていくかと、いう課題を残す。
一方、独走優勝を果たした阪神の藤川球児監督は就任直後から「力のないベテランはいらない」と明言し、実力主義を徹底。昨年59試合に登板して防御率1.55と好成績を残したゲラの調子が上がらないとみるや、若手の及川雅貴を抜擢した。及川は防御率0.87、6勝3敗、52ホールドポイントという圧巻の数字で応えた。明確な方針と厳しさが、チーム全体に競争意識を浸透させたといっていいだろう。
新井監督が語った「来年以降も続く苦しみ」という言葉は、まさに現在の広島を象徴している。この苦しみを乗り越え、再び強いチームへと生まれ変われるのか。次のシーズンで厳しく問われることになる。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)