
プロ野球ベストナインの発表が近づいている。2026年にWBCを控える今季は、選出メンバーがそのまま代表候補にも重なるため、例年よりも熱い視線が集まっている。各ポジションの票読みが進む中、セ・リーグでは首位打者と最高出塁率の二冠を達成した広島・小園海斗を「どのポジションで評価するか」がひとつの焦点となる。
小園は今季、三塁61試合、二塁22試合、遊撃50試合で先発(出場は計138試合)。守備位置が複数にわたる「ポジコロ」が続いたが、終盤になって遊撃に守備位置が定まると、8月は3割3分、9月は3割7分と打撃のギアを一段上げるラストスパートで、首位打者タイトルを獲得した。数字だけを見れば文句なしだが、ベストナインはポジション別の記者投票で決まるため、投票割れによる不利が懸念される。
各ポジションの有力どころを見てみると、三塁は40本塁打102打点の阪神・佐藤輝明が大本命。遊撃は巨人・泉口友汰がレギュラーの座をつかみ、打率3割で存在感を示した。二塁は阪神・中野拓夢が出塁・走塁・守備の総合力で安定評価を集める。一塁は阪神・大山悠輔の75打点が説得力を持つ。小園は各部門で上位に食い込む力があるが、出場数の多い三塁にも遊撃にも、強力な本命が立ちはだかる構図は変わらない。
象徴的だったのはオールスターだ。小園は「三塁」にノミネートされたが、ファン投票2位となり、惜しくも出場を逃した。もし最初から「遊撃」部門であれば、打撃不振だったチームメイトの矢野雅哉に代わって、初の投票出場を果たしていたかもしれない。新井貴浩監督にとって、シーズン中の「ポジコロ」はチーム事情ゆえの苦肉の策だったが、守る選手には確実に負担を強いた。
とはいえ、首位打者と最高出塁率という二冠の重みは揺るがない。来季は開幕から遊撃に固定して評価軸を一本化したいところ。まずはWBCの正遊撃手として侍JAPANを世界一に導けば、文句のないベストナインの座に収まることになるだろう。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)