
今季、ヤクルト1軍投手コーチだった石井弘寿氏が、来季から広島の1軍投手コーチに就任することが明らかになった。ヤクルトとの契約期間満了に伴って退団が発表されており、広島がすかさず獲得した形だ。
広島にとって、外部コーチの招聘はまさに異例。石井氏はブルペン運用の経験が豊富で、選手に寄り添う指導スタイルで知られる。新井貴浩監督とは同学年であり、考え方の面でも噛み合う部分が多い。来季は守護神・栗林良吏が先発転向に挑む見通しとなっている。石井氏の招聘は、若手育成とリリーフ再整備の両面で、チーム再建の要となりそうだ。
石井氏は現役時代、ヤクルト一筋で最速155キロを誇る剛腕サウスポーとして活躍。2002年には69試合に登板して6勝2敗5セーブ、防御率1.51という数字を残し、最優秀中継ぎ投手賞を獲得した。2004年のアテネ五輪、2006年の第1回WBC日本代表に名を連ね、「日の丸」を背負う経験をしてきた。2011年に現役を引退すると、翌2012年からヤクルトの2軍育成コーチ、2017年からは1軍投手コーチを歴任。選手との信頼関係は厚かった。
今回、広島が石井氏を抜擢した背景には、チーム防御率3.20でリーグ5位という投手陣の苦戦がある。特に「勝利の方程式」を定着させきれなかったリリーフ陣の整備は、球団にとって早急に解決すべき課題。石井氏への期待は「現有戦力の底上げ」に大きく傾いている。
ただ、石井氏には広島との「縁」がある。現役時代の初登板、初奪三振、初勝利、初先発勝利はいずれもカープ戦。そんな経歴もあって「高津監督からの『ふるさと納税』じゃないか」という冗談交じりの声まで上がったが…。
一方、ヤクルトファンからは「石井コーチの投手運用は信用していい」「ゴリ(石井コーチの愛称)は登板間隔を空ける運用を好む」といった「トリセツ(取扱説明書)」が広島ファンに送られており、その指導力への信頼は厚い。選手のコンディションを最優先する新井監督の方針とは通じるものがあり、両者の協調に期待が高まっている。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)