
新井カープの救世主となれるのか。広島が10月23日に迫るドラフト会議で創価大学の立石正広内野手を1位指名すると表明している。強打堅守の立石は山口県防府市の生まれ。お隣り「準地元」出身で、大学生内野手ではナンバー1と言われる逸材だ。広島が1位指名を決めたのは当然の流れかもしれないが、他球団の反応はなんともは微妙だった。
「そもそも1位指名選手を公表する目的は主に2つ。選手側に誠意を示すためと、他球団への牽制です。どの球団も重複指名を嫌う傾向が強いので、指名を考え直す球団が出てくるかもしれません」(スポーツ紙記者)
とはいえ、かなりの逸材となれば、立石の指名重複は避けられない。しかし他球団が広島の1位公表を聞き流した理由は、それだけではなかった。
「近年、広島が下位指名した選手が主力級の活躍をしています。2020年5位の矢野雅哉、2021年6位の末包昇大などです。投手では2019年5位の玉村昇悟、2020年育成ドラフト1位の二俣翔一が、今季前半戦のチームを牽引しました」(地元メディア関係者)
下位指名であっても大学、社会人チームから来た選手はほぼ即戦力で、高卒の選手もしっかりと育っている。かつての広島は無名選手を一本釣りし、育ててきた。その独自路線は有名選手の競合抽選に参加するようになっても、下位や育成ドラフトで継続されていた。
「1位入札は立石? でも今年の広島は、投手の補強に重点を置いたドラフトになると聞いています」(ライバル球団スタッフ)
今年7月、広島県下の地方球場に12球団のスカウトを結集させた高校生右腕がいる。春の県大会でチームを初優勝に導いた英数学館高校の藤本勇太投手だ。夏の甲子園予選・広島大会では3回戦で消えたが、春の県大会決勝戦の相手校は広陵高校だ。4季連続夏の甲子園大会出場(当時)を果たした強豪校相手に投げ勝ったのだから、プロ野球スカウトが大挙してくるのも分かる。
「阪神、巨人のスカウトが特に熱心でした。チーフクラスのスカウトや編成部トップを同伴させる球団もありましたね。磨けば光る地元の逸材を喪失したら、広島にとっては一大事でしたが…」(前出・地元メディア関係者)
その藤本はプロ志望届を出さず、進学を選択。夏の県大会後に「プロ希望」を明言していたので、この選択にはビックリした関係者が少なくなかった。今回のカープの1位指名表明に、影響があったのだろうか。(飯山満/スポーツライター)
(※引用元 Asagei plus)