
広島カープが2026年度から、ファンクラブ「赤組」を大幅リニューアル。年会費1000円で入会し、応援スタイルに合わせた6コースから選べる仕組みだ。チケット先行販売や限定イベント、ポイント制度の導入など従来の仕組みを刷新し、ファンの応援スタイルに新しい楽しみを加えるはずだった。ところが蓋を開けてみればその運営体制に対し、ファンから大ブーイングが巻き起こる事態となっている。
特に人気を集めたのが、スラィリーファン向けの「マスコットコース」(定員2000人)と、由宇球場でのウェスタン・リーグ観戦が楽しめる「若鯉応援コース」(定員1000人)。どちらも写真撮影会や選手との触れ合い企画などが用意され、ファン垂涎の内容だった。
ところが10月20日の先行受付開始直後に両コースは定員に達し、わずか1時間ほどで募集終了。球団は「10月28日からの新規入会受付では、両コースの申し込みは受け付けない」と発表し、カープファンの不満が一気に爆発した。
ファンコミュニティーサイトには「若鯉応援コース1000人は少なすぎる」「いつもカープのやることはセコい」「先行入会で新規が排除されるのはおかしい」と怒りの声が並んだ。
これは当然のことで、新しいファンクラブは「自由と権利」「革命的進化」を謳っていた。ところが実際には既存会員を優先する仕組みであり、新規ファンに参加の余地はほとんどない。記念撮影やサイン会などの人気特典付きコースも、旧ファンクラブ「鯉来い」会員の先行受付でほぼ埋まってしまい、多くが応募すらできなかった。
一方で、16歳から29歳向けの「ユースフルコース」には、マツダスタジアムへの無料招待や、好きな選手からのバースデーメッセージ動画など、魅力的な特典が並ぶ。しかし最近、増えている「大人のソロ推し活」には対応しきれていない。オンラインショッピングコースを除けば、30代以上の新規会員が選べるプランは限られており、ファン層の広がりという点では物足りなさが残る構成だ。
もちろん球団にも定員管理や特典維持といった事情はあるだろう。とはいえ、抽選制を取り入れるなど、もう少し公平にできなかったのか。巨人や阪神など他球団でもポイント制や先行販売制度は一般的だが、ここまで批判が集中するケースは珍しい。
チームの成績が低迷し、球場の空席が目立つ中での今回の対応。せっかく新しく生まれ変わった「赤組」は、このままでは一部のファンしか楽しめない仕組みになりかねない。誰もが参加しやすく、自然と球場に足を運びたくなるような運営をできるかどうか。そのあり方が、今後のカープ人気を大きく左右しそうだ。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)