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3連覇も変革期迎える広島、日本一への鍵を握る2人の「ハズレ1位」

2018年12月6日

3連覇も変革期迎える広島、日本一への鍵を握る2人の「ハズレ1位」

安部と野間は「ふるい落すための打席」を勝ち抜いてきた選手

安部友裕と野間峻祥。表立って目立つ存在ではないが、カープに欠かせない選手だ。堅守、巧打の左打者、似たタイプに見られがちだが、立ち位置はまったく異なる。悲願達成に欠かせない2つのピースに迫った。

リーグ3連覇を果たした2018年オフ、広島は1つの変革期を迎えている。中心選手だった丸佳浩がFAで巨人移籍。優勝を争う大本命のライバル球団は日に日に戦力補強を重ねている。しかしチーム周辺から焦りの声を聞くことはない。これまでやってきたことを信じ抜き、地に足をつけ来るべきシーズンに備えている。

日本シリーズ終了直後からの秋季キャンプでは伸び盛りの選手を中心に連日、激しい練習がおこなわれた。その中に安部と野間がいた。

「自分の確固たる場所を勝ち取ったり、実戦で結果を残せるというのはタイミングが重要だと思う」

こう切り出してくれたのは、東出輝裕打撃コーチ。身体は大きくなかったが、抜群の野球センスと俊足を武器にチームを引っ張り、日本代表にも選出されている。

「極端な言い方をすれば、例えば打者には振るい落とすための打席がある。開幕直後、投手を多めに登録したい時など、点差が開いていたりしたら大きな期待をかけず打席へ送る。そこで結果を出せばそのまま1軍だけど、ダメならちょっと2軍で調整となる。当落線上の選手というのはそういうものです。そういう意味では2人はその中で生き残ってきているとは言える打者だと思う」

若手がチャンスをものにしてレギュラーとして結果を残すためには、タイミングが重要だという。しかしタイミング=運のみではなく、ベースとなる確固たる実力が重要なのは言うまでもない。安部と野間に関して語ってくれた。

遅咲きながらチーム内屈指の実力者・安部

安部は07年高校生ドラフト1位指名、ロッテ唐川侑己の抽選を外した広島から指名を受けた。プロ3年目までは2軍で実力を磨き、4年目となる11年から少しずつであるが1軍の試合にも出場できるようになる。

飛躍となったのは17年、123試合に出場、規定打席に到達し打率.310、4本塁打、17盗塁。とくに優勝を争う阪神との対戦となった9月5日には逆転サヨナラ本塁打。翌6日には試合終盤8回に勝利へつながる価値ある同点打、と抜群の勝負強さをみせた。

「安部は2軍にいる時からしっかりとした実力があった。タイミングというか、1軍での出場機会に恵まれなかったので、どちらかといえば遅咲きで、いきなり打ち始めたように見えた。もちろん守備が安定してきたのも試合に出れる要因の1つですけどね」

2軍野手コーチ補佐を兼任した時代から見続けてきた安部の実力に関して、東出コーチは太鼓判を押してくれた。

しかし、レギュラー奪取と思われた18年は開幕から調子があがらず6月に2軍降格。1軍再昇格した8月5日のDeNA戦では、右手中指骨折。シーズン終盤に復帰し、CSでも2本塁打を放つなどしたが、本人は不甲斐ない思いをしている。

「故障したのは本当に残念だった。実際、今でも指の形が変形しているほど、けっこうな重症だったとも思う。休む期間も長かったですが、1軍には戻れた。でも完全ではなかったし、18年は最後まで納得できることはなかった。でもそれを悔やんでもしょうがない。この故障でさらに違った面というか、新しいスタイルも構築できると思う」

「故障して2軍にいる間に5キロくらいウエイトが増えた。トレーニング食事で身体が大きくなった。最初はやはり少し重くなった、という感覚はあったのですが、それに適応してきた。だから故障前とは少し異なったプレースタイルになりつつあると思いますね。以前に比べて力強さが増したような気もする」

真のレギュラー定着へ正念場を迎える立場の野間

野間は14年ドラフト1位、日本ハム入りした有原航平の競合抽選に外れた広島から指名された。中部学院大時代から驚異的なスピードに定評があった。チームは投手優先の獲得方針であったが、緒方孝市監督から「映像を見て感じるものがあった」というプッシュもあったという。実際、大きな期待を受け1年目から127試合に起用された。しかし2年目は21試合、3年目はおもに代走、守備固めで98試合の出場となった。そして迎えた18年、開幕直後に不動のレギュラーであった丸佳浩、鈴木誠也が故障。チャンスをもらった形の野間が結果を残し、その後も試合に出続けた。

「足と守備が強みと言われてきましたけど、それだけではなく打てないとまったく意味がない。というか試合にすら出られないと思う。それくらいうちの野手陣はレベルが高い。足を活かしてというのももちろんだけど、しっかりと打ち返すことができるようになりたい。打席では右肩を開かないで最短距離で打ち返す。これを徹底的に意識している」

「身体は少し大きくなったと思う。大きくなった当初は重くてスピードは大丈夫かな、とも思った。でもその部分はやっていくうちに慣れてきたというか。筋力もその重さに合わせてついたと思うので、自分の中の感覚ではスピードに関してはまったく変わらないと思う。長打も出るようになったけど、それでスピードまでなくなったら意味がないと思う」

それまで見受けられた、転がして一塁を走り抜けるような打撃でなく、しっかり振り切ったスイングができつつある。5月19日のヤクルト戦では満塁本塁打も放ってみせた。野間本人も少しずつであるが手応えを感じているようだが、東出コーチが求めるレベルは遥か遠くにある。

「野間は現状ではまったくの発展途上。18年に多少、結果が出たのは、たまたま良い状態の時に試合に出て、良い結果も出た。それがしばらく続いたので試合にも出続けることができた。打者としてはまだまだ、だから、これからさらにレベルアップする必要がある。そうしないと苦労するという話はよくしています。だからこそ、このオフからが重要になる」

同じ左打者で結果を残したが、安部と野間は大きく異なる。秋季キャンプから強化選手として連日、東出コーチが指導する姿が見受けられる。

「ハズレ1位」

安部、野間の2人とも世間的にはそう呼ばれる形でのプロ入りだった。しかし、勝負は全てプロ入り後。どんなに華麗な遍歴を抱えていても、言葉は悪いが消えていった選手も数多い。そんな世界で勝ち残るのに何が必要なのか、は本人たちが重々承知している。

チャンスは準備を重ねた者のみに降り立つ。まさにこれらを体現している選手たちではなかろうか。決して全国区で目立つ存在ではない。しかしこういう選手たちが着実に結果を残すチームは強い。広島に携わるものすべてが、2人の重要性は十二分にわかっている。目指すべき次なる高みは1つしかない。35年ぶりの日本一へ、すでに視界良好である。(文:山岡則夫)

(※引用元 Full-Count

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