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黒田博樹と北別府学、前田健太が語った「広島カープ・エース」の伝統

2019年1月17日

黒田博樹と北別府学、前田健太が語った「広島カープ・エース」の伝統

勝つことだけではなく、負けざまにこそエースの真価がある――。

入団5年目の2001年に自身初の2桁勝利となる12勝8敗をマークした黒田博樹は、こう確信してカープのエースとしての道を歩き始めた。

「その年に監督(第2期)になられた山本浩二さんと出会って、エースたるものは完投すべきと叩き込まれました。勝つだけならそういう投手はいくらでもいると思います。ただ、その中でプラスアルファが何かといえば一人で白黒つけるということ。あの年は山本監督にとにかく最後まで行け、という采配をしてもらった。それが僕のターニングポイントでした」

この年27試合に先発して、約半分の13試合で完投。3完封を含む9完投勝利はもちろんリーグ最多である。

ただ、黒田が誇っているのは、実はこの白星の数だけではなかった。8つの黒星の中には、実に4つの完投負けがある。この数字にこそ黒田のカープのエースとしての矜持が込められていたのである。

厳しい負けを積み重ねることで

2001年当時の広島は前年まで3年連続5位に低迷する弱小チームだった。

その中で黒田は開幕2戦目を任され、中日戦で9三振を奪いながら2対3の完投負けを喫した。そして2試合目の巨人戦も1対2でまたも完投で敗れている。残る2つの完投負けも0対1と2対4。いずれもあと少し打線の援護があれば、白黒がひっくり返ってもおかしくない試合だった。

「難しいというか、苦しいというか、もどかしいというか。自分一人じゃ何もできない無力感を感じていました」

こうして厳しい負けを積み重ねることで、黒田の中にはその無力感を振り払う哲学が築かれていった。同じ負けでも負け方がある。その負けざまにこそエースの真価は問われている、と。

「チームの中にマイナスを残さない負けがあると思いました。それは負けても自分一人で試合にケリをつけること。中継ぎやクローザーを休ませて完投するのが、エースの負け方だと思うようになったんです。完投がすべて素晴らしいとは思わないけど、気持ちの問題です。オレがエース、どこまでもやってやろうと、意気に感じてマウンドに立ち続けるぞと思うようになりました」

巨人相手に孤軍奮闘した反骨心

入団した1997年当時の広島市民球場は空席が目立つスタジアムだった。

「ファンの数も多くなかったし、ファンの目が厳しくて、勝たないと人も入ってこないチームだった」

そこで人気絶頂、巨額を投じた補強でありあまる戦力を誇った巨人を相手に孤軍奮闘し、ひたすら一人でマウンドに立ち続ける。それがカープのエースの意地だと教えられた。

「エースと言われるようになってからは、(巨人という存在は)羨ましさを感じる反面、反骨心につながっていましたね」

広島のエースを動かす原動力は、その反骨心だったのである。

出ていくやつは出ていけばいい

「僕も(野球をやる価値は)年俸ではないという思いはありましたから。巨人とかに移籍していく選手を見ていて、出ていく奴は出ていけばいいと思っていた。ただ、オレたちはここで、このチームで勝つんだ、という気持ちだけでしたからね」

こう語るカープのレジェンドプレーヤー北別府学も、だからこそカープのエースの条件は完投しかないと語る一人だった。

「僕らの時代のエースの条件といえば、ローテーションをしっかり守って完投すること。僕も先発するときはまず完全試合に始まり、次はノーヒットノーラン、完封、完投と目標を変えながらマウンドに上がっていた。外木場(義郎)さんや池谷(公二郎)さんら僕らの先輩のエースというのは、それが当たり前だったと思います」

その伝統を受け継ぎ、1976年の入団から’94年に引退するまで、実に135完投で通算213勝をマーク。最多勝2回、沢村賞2回など数々のタイトルを手にした。

ただ、北別府の時代と黒田の時代が少し違うのは、当時の広島は常に優勝争いを演じる強者だったことである。北別府は言う。

「もちろん自分が投げるときにはリリーフには負担をかけない。その上で最低15勝を基準に、そこからいくつ上乗せできるか。エースが上乗せした数字で優勝が見えてくると思って投げていた。それがエースというものだと思っていました」

自分の中での歯がゆさが

一方、黒田が広島で初めて優勝を味わったのはメジャーでの7年間を経て、再びカープのユニフォームに袖を通してからだったが、あの熱狂の2年間を振り返ると黒田には少し心残りがある。

「僕がもっと元気なら、何かもっとできたという気持ちはありました。僕が教えてもらったカープのエースというのはこうだということを表現したかった。でも40歳、41歳のシーズンでそれができるかというとできなくて、自分の中での歯がゆさを感じていた。体力がある34、35歳ならもうちょっと違ったものができたかもしれないけど、自分が考えていることと表現できることがずれているのが苦しかったですね」

復帰した2015年から2年間で黒田の完投は合わせて2試合。その2年間のチーム全体の完投数は、合わせて16試合に減ってしまっていた。

北別府がマエケンに言ったこと

「いまは環境が違う。チームも打たれる前に代えておこうという感じで、それでは投げている方も弱くなる。とにかく100球にこだわって、8回でも降板してしまう。以前に前田(健太、現ロサンゼルス・ドジャース)に『せめて完投してくれ』と頼んだことがありましたよ。僕は環境の甘さが選手を弱くしていると思いますよ」

北別府からはこんな苦言も飛び出したが、さて当の前田健太はどう考えているのか。

「そこをよく言われるんですけどね。黒田さんや北別府さんと僕がちょっと違うのは、僕は登板間隔が中5日だったんです」

前田の説明に耳を傾けよう。

「僕の年間の投球イニングをみてもらったら分かるのですが、210回とか投げているシーズンがあります。確かに黒田さんに比べれば、完投は少ない。完投できる場面も一杯あった。でも、チーム状況で先発がいなくて野村(謙二郎)監督や緒方(孝市)監督、投手コーチと話し合って中5日で投げていた。それも完投が少ない理由だと思います。

まあ、時代にもよると思うんです。僕のときは先発の頭数がいなくて、6人揃えられないから、僕はなるべく短い間隔で、と言われて中5日だった。試合中の点差、球数によって『きょうは点差が開いたから、ここで降板して次の登板間隔を短くしていってくれ』というのがあったんです」

どれだけイニングを投げるか

確かに試合数の変化はあるが北別府はカープの実働19年間で投球回数が200回を越えているのが7シーズン、黒田は最初の広島時代の11年間で2回だけだが、前田はカープの8年間で半分の4回も200イニングをクリアしている。

「もちろん前日の試合までにリリーフを使っていて『きょうは最後までいってくれ、次は中6日でいいから』というのもあります。ただ10点も差が開いたら、別にもういいじゃないですか。7回とかでマウンドを降りて、次は中4日、中5日でという相談があるなら。

もちろん僕だって完封して最後のマウンドにいる瞬間が一番嬉しい。でもエースとして何が大事かといえば完投というよりも、どれだけたくさんの試合に投げて、どれだけのイニングを投げるか。そこが大事だと思うんです」

完投に限らずとにかく他チームのエースと比べて、より多く投げる。それがカープのエースの伝統だと考えれば、前田も黒田や北別府と同じ系譜の投手ということになるわけだ。

新しいエース像を

ただ、前田はそういうカープらしさにとらわれずに新しいエース像を切り開くことも大切だ、と考える投手でもあった。

「カープってちょっと怖いイメージありますよね。近寄りがたいというか。そういう球団だったじゃないですか。昔ながらの練習風景があって、ちょっと“男”とか“男気”のあるというか、そういう選手が多かった。僕はそれを変えたかった」

入団直後に地元のテレビ番組で球団OBの投手が「エースとは近寄りがたい存在でなければならない」と語るのを観た。「でも『オレは違うな』と思ったんですよ。無理矢理、自分がそういう古くからあるエース像に寄せていく必要もないかなと。

僕はどんどん後輩とかとコミュニケーションをとってやりたいタイプで、みんなが近づいてくるようなエースになりたいと思ったんです。投手陣の中でみんなが慕ってついてきてくれて、みんなが気軽に相談できる存在でありたいと思っていました」

昔は仁義なき戦いだったが

カープも時代と共に変わっていく。

「僕らの頃はスタンドでは喧嘩がしょっちゅう。それこそ当時平日の市民球場のナイターでは『仁義なき戦い』のセリフのようなヤジが飛び交い、とても女性や子供が来られるところではなかった」

懐かしそうに北別府が振り返った市民球場はもうない。本拠地は日本一の天然芝球場と言われるマツダスタジアムに替わり、真っ赤に染まったスタンドからは若い女性ファンや親子連れの声援が飛び交う。

時代とともにカープのエース論も変化する。それもまた、仕方のないことなのかもしれない。

(※引用元 Number Web

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