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プロ野球ファンサービスの『実態』と、ある選手がカープ少年だった頃

2019年2月21日

プロ野球ファンサービスの『実態』と、ある選手がカープ少年だった頃

1月下旬のある日、千葉ロッテ・藤岡裕大は昼過ぎで予定していた全ての練習を終えると、クラブハウスへ戻る途中、足を止め、熱心にファンサービスに努めていた。

昨年はルーキーながらショートの定位置を1年間守り切り、143試合にフル出場。次代のスター候補生が、ロッテ浦和球場で練習しているとあって、彼が球場外に姿を見せるとファンが次々と群がっていった。

ざっと見たところ50~60人はいただろうか?

その日はとても肌寒く、インフルエンザの流行も世間で騒がれていた。キャンプイン前であることを考えたら、出来るだけ早くここを切り上げて、自宅に戻り、ゆっくり体を休ませたい、そんな考えもあったように思う。

だが、藤岡は、ファンの誰ひとりとも飛ばすことなくサインに応じ、最後までファンの要望に応えてから、クラブハウスへと引き揚げた。

「ファンは大切にしなければいけないと思うので、書けるときはできる限りサインします。今日はこの後、もう何もしないのもありましたし(笑)。シーズンに入ってしまうと書ける機会も減ってしまいますし」

一点の曇りもない表情でそう語る彼の姿に、彼がいかにファンを大切に捉え、日頃から感謝しているかを感じ取れた。

心ないファンの行動が騒動に

実はこの取材の数日前、心ない一部のファンがとった行動がSNSを中心に球界を騒がせていた。

事の発端はオリックスの宮崎佑樹が自身のインスタグラムに記した一文である。現在は非公開となっているため全文掲載は控えるが、自主トレ中の選手にサインをもらえなかったからといって暴言を吐いたり選手カードを破り捨てたりしたファンに対して、もうこんなことはしないでほしいと訴える内容だった。

まさに悲痛な叫びだった。

現場に居合わせていた藤岡

マナーをしっかり守っているファンがいることも彼は百も承知だろう。インスタグラムからは、彼がいかに普段からファンを大切に思い、声援を力に変えているかも窺い知れる。だからこそこれを記すには、彼自身も相当、心を痛めたように思う。

この件はネットニュースでも広く取り上げられすぐに拡散。ファンそしてマスコミの間でもSNSなどを通して議論がかわされた。

実はこの現場に、藤岡も居合わせていた。

藤岡にとって、宮崎は大学の先輩でもあり、騒動の舞台になった自主トレ場所の亜細亜大学は彼らにとって母校でもある。その場所が今回の件で汚され、彼らがどれほど心を痛めたかは容易に想像できる。

だが、そんな話題が世間を騒がせている中でも、藤岡は前述した通り、ファンに背を向けることはなかった。1枚1枚の色紙、そしてグッズにサインを書き、写真や握手を求められればその要望にも応えた。

書いている最中、列はさらに伸びて、練習後の藤岡の体がやや心配にもなったが、それでもけっして切り上げることなく、本当に最後の1人までペンを走らせ、その場を去った。その行動はまるで宮崎の想いを代弁しているようにも見えた。

「自分もそのとき一緒にいて、マナーが悪いかなとは感じました。だけど、その人も野球が好きだから、来てくれてるんだと思うんです。だから書けるときもあれば、書けないときもあるというのを理解してもらえればと思います。みんな(サインを)書きたくないわけではないと思うので……」

切実にそう訴えた。

取材中にも気になってしまう

その後も同所で筆者は取材を続けた。目的はあくまで、選手達のオフの取り組みや、今季にかける意気込みを聞かせてもらうことだった。それでもロッテ浦和球場は、選手とファンの距離が近いため、否が応でも騒動を思い起こす場面に出くわす。

その度に、つい選手のファンサービスの意識にまで目が及び、その様子をチェックしてしまう。そんなとき、1人の選手がロッテ浦和のグラウンドを出て、室内練習場に移動しようとしていた。

社会人野球・JR西日本からドラフト7位で入団し、今年でプロ4年目を迎える高野圭佑だった。

ファンが少なくても丁寧に

過去3年間の一軍通算成績は39試合2勝4ホールドポイントで防御率は6.65。昨年は自己最多の17試合に登板し、防御率は4.15。今季こそ一軍に定着し、名前を売り出していきたいこれからの投手だ。

一軍定着がまだなのだから、藤岡と比べるとややファンの反応も鈍い。当然、サインを求める数もまばらであるし、中には顔と名前が一致していない人もいる。

それでも彼はひとりひとりのファンに対して丁寧なファンサービスを行う。サイン1枚を書き終えては、必ずファンに、礼も欠かさない。

書いてもらう側が「ありがとう」と言うのではなく、書いた側が「ありがとう」と言うのだ。つまり自分を応援してくれてありがとうという意味なんだろう。なんという謙虚さだ。

東出からボールをもらって

その後、高野にも藤岡同様、ファンサービスの意識について質問をした。すると彼は、自分が1人の野球少年だったころの思い出とともにこんな考えを明かした。

「僕は広島出身なので、子供の頃、カープが好きでした。でも、選手はあまりよく知らなかったんです。周りの友達がみんな好きだったので、自分も好きになった。最初はそんな感じだったんです。当時はまだ広島市民球場の頃で、フェンスが結構低かったんです。確か小学校3年生の時だったんですけど、そこによじ登って『ボールください、ボールください』って近くの選手に叫んだんです。

でも、誰かはよう知らんのですよ。そしたらグラウンドの向こうからボールが飛んできた。『あっ、ボール来た、お父さん、あのボール投げた人だれ? 』って聞いたんです。そしたら父が『あれは東出(輝裕)選手だよ』って教えてくれて、僕はそこから東出選手のファンになったんです。そこからテレビを見ているときも『おっ、東出選手や』って言うようになってね。

だから、僕の顔と名前を知らなくても、自分はあまり気にせんのですよ。サインを書いたこと、それで僕を知ってくれたら嬉しいですし……僕もボールをもらったのがきっかけで、東出さんをテレビで応援するようになった。だからサインを書いたことで、『あの時、サインをくれた人やな』って覚えてくれたらいいと思っているんです。そこから好きになってくれたら」

「ついで」のサインも応じて

みんな誰だって少年、少女期を経て大人になる。その成長曲線は人によって様々だし、それぞれの時間を生きていれば、知識や経験も大きく変わる。

それがいつしか個性へと変わる。高野はそういうことも理解して、この発言を口にしたのだろう。

もちろん筆者は取材で球場に通っている身なので、千葉ロッテであれば育成選手やスタッフの顔に至るまで顔と名前が一致している。そういう熱烈なファンも、もちろん多くいることだろう。

一方で、球場に詰めかけるファンの全てがそうしたファンであるかと問われたら、けっしてそうではないし、高野が言うように、顔と名前が一致しないビギナーファンも大勢いる。当然、選手がただ通りかかったからと言って「ついで」のサインをもらうファンだって多くいることも彼はもちろん承知だ。

だが、高野はそれを「マナー違反」だとは思わない。むしろ当たり前のことだと思っている。

それよりも1人でも多くのファンに自分のことを知ってもらい、また球場に遊びに来てもらえるよう、自分が今、できる最大限で応えたいと考える。こんなこと誰でもが出来ることではない。高野圭佑の人間力を改めて知った。

「サインください」は嬉しい

「サインができるときであれば、できる限り書きますよ。僕としてもやっぱり『サインください』と言ってくれるのが嬉しいですからね。もちろん時間がなくて、その希望に応えられないときもありますが。でもせっかく僕らに興味を持って、球場に来てくれているんでね。仮に僕がファンとして球場に来ていて、目当ての選手からサインをもらえなかったら、それも寂しいですから」

彼の話を聞いているうちに、自分が少年時代、球場に通い、選手達にサインを求めていた頃を思い出した。そのときの選手の顔、対応する姿、それを30年以上経った今でも鮮明に覚えている。高野はそういう思い出を大切にしようとしているのだ。

高野ほどではないにせよ、彼の言っていることは、おそらく千葉ロッテ、いやプロ野球選手全員の総意だ。彼らの近くで取材しながら、そう感じている。

そして1人でも多くのファンに素敵な思い出が作られていくことを心の底から願って。

そんな選手たちの心情を少しでも理解してもらえたらと、今回、ペンを走らせた。(文:永田遼太郎)

(※引用元 Number Web

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