塁に出たのはわずか2人だった。
12日、広島がDeNAに1安打完封負け。連敗は5に膨らみ、両リーグ10敗一番乗りとなった。3連覇を果たした昨季までの強さが嘘のように自慢の打線は沈黙し、かねて課題だった投手陣は崩壊に拍車がかかっている。
緒方監督は「バッター全員が振れていないわけじゃない。切り替えてまた明日やるだけ」と話したが、このまま負の連鎖は続くのか。
試合前に4番に座る鈴木誠也(24)を直撃すると、「寒いからじゃないですか。まだ始まったばかりですよ」と前向きだった。
主軸の丸が巨人へFA移籍し、精神的支柱だった新井が現役引退。ベンチのメンバーは様変わりした。それが今季の停滞の一因として挙げられることが多いが、鈴木は冷静だ。
「確かに新井さんが声を出してベンチを盛り上げてくれた部分は大きかった。(3連覇して)今まで勝っていたからこそ、負けが続くといろいろ言われるのは想像していたし、自分を筆頭に打てないから騒がれる(自己ワーストの20打席無安打)。これで勝ち始めたら、みんな手のひら返して反対のことを言い出すんじゃないですか(笑い)」
リーダー不在で4番への重圧が大きく
主力2人が抜けたことで、24歳の4番は自覚が増したようだ。
「(曽根など)若い子が(一軍へ)入ってきて、はたから見て嫌だなと思うような行動はとりたくないと思うようになりました。前は結果が出なくてイライラすると(マツダスタジアムのベンチ裏にある)サンドバッグを殴ったり、自分の太ももを(拳で)叩いたりしていました。そのときはアドレナリンが出ていて気付かないんだけど、後で『アザになっているな』と思ったら自分が殴ったところだったりして(笑い)。僕の場合、打てなかった悔しさやイライラを力にするタイプだけど、それを出しすぎるのも良くない。(若い選手が)見て真似してほしくないので。かといって“まあいっか”と簡単に諦めていると思われるのも良くないので、そこのバランスが難しいですね。だから最近は(イライラしたら)ベンチ裏をウロウロと延々歩いて気を紛らわしたり、大声で応援して発散したりしています」
この日は打撃不振の田中を8番に下げ、野間を1番に据えるなど、打線をテコ入れ。それでも効果はなく、高ヘッドコーチは「菊池以外はみんな本来の打撃になっていなかった。打つ手を考えていかないと」と絞り出した。リーダー不在の広島で、4番の背中にかかる重圧はますます大きくなりそうだ。
(※引用元 日刊ゲンダイ)