公式戦(5月29日、カープ5-3ヤクルト、神宮球場)
雨模様の神宮の空で行ったり来たりしていた“勝利の女神”を、4番が力づくで振り向かせた。2-3の五回2死一、三塁で、広島・鈴木が内角球にバットを折られながらも、左翼線へ同点二塁打。1994年8月に並ぶ、月間18勝の球団記録に導いた。
「(中断があったが)得点圏だったので、集中していた。甘い球を振っていこうと思っていた。たまたまヒットゾーンに飛んでくれました」
五回1死一、三塁とチャンスを迎えたところで雨脚が強くなり、午後7時36分に中断に入っていた。試合は成立しておらず、そのまま続行不可能ならノーゲームに。再開しても、1点差を追いつかずに五回表が終了すれば、その後の天候次第で降雨コールドで敗れる可能性もあった。
三塁ベンチで待つしかない中、29分間に及ぶ中断にも主砲の集中力が途切れることはなかった。再開後、バティスタは空振り三振を喫したが、4番が左腕・高橋の内角148キロをとらえた。
足でも魅せた。なお2死二、三塁で、西川がボテボテの遊撃内野安打を放つと、奥村の一塁への送球がわずかにそれた間に二塁から生還。一気に2点を勝ち越した。
24歳の鈴木と、燕の19歳、村上との若き4番対決でも注目された一戦。鈴木は一回2死一塁で先制15号2ランを放つなど2安打3打点。村上も一回の14号3ランを含む2安打3打点で意地をみせたが、鈴木が貫禄勝ち。緒方監督は「誠也(鈴木)の一打が大きかったね。あそこで(五回に)4番としての仕事をしてくれた」と大絶賛だ。
チームは26日の巨人戦(東京ドーム)で連勝が11で止まったが、このカード連勝で8カード連続の勝ち越し。両リーグ最速で30勝に到達した。貯金も今季最多の11だ。5月は18勝4敗1分けで、残り2戦。打っても、走ってもすごい新世代の4番が、カープを球団新記録へ、そして頂点へと引っ張っていく。
(※引用元 サンケイスポーツ)