広島は2019年7月8日、ナゴヤドームで中日と対戦し2-3で敗れた。先発・九里亜蓮投手(27)が5回6安打3失点と踏ん張るも、打線は5安打2得点と援護出来なかった。
チームは交流戦後、1分けをはさんで泥沼の9連敗。5年ぶりの9連敗で借金は「3」で首位・巨人とのゲーム差は「9」に広がり、オールスターゲームを前にしてリーグ4連覇は風前の灯火となった。
移籍濃厚な有力選手たち。しかし…
肉体的疲労か、それとも精神的なものなのか。どん底のチーム状態にある中で、ついに精神的支柱である菊池涼介内野手(29)が戦列を離れた。トレーナーはコンディション不良のため一時的な戦線離脱とし、9日にもスタメン出場が見込まれるが、不振を極める打撃陣をけん引する菊池の肩には目に見えない重圧がのしかかるのだろう。
投手が好投して試合を作っても打線の援護がない。交流戦後は同じような展開で黒星を重ねてきた。オールスターゲームまであと2試合を残すが、すでにシーズンを借金持ちで折り返すことが確定。チームは浮上のきっかけさえつかめない最悪の状態にあるが、関係者によると、ここにきて今オフにFA(フリーエージェント)を控える選手の評価に変化が見られるという。
今オフにFAでの移籍が注目されるのが、菊池、会沢翼捕手(31)、野村祐輔投手(29)の3人だ。菊池は昨オフ、ポスティングシステムを使ってMLB移籍を公言し、今オフの移籍が濃厚。今年5月に国内FA権を取得した会沢は移籍に関して明言を避けており、今のところ不透明な状態だ。野村は今シーズン中にも権利取得が見込まれ、動向に注目が集まっている。
「丸のような高額な金額を提示する球団は…」
また、来オフには田中広輔内野手(30)が国内FA権を取得する見込みで、その次には大瀬良大地投手(28)、中崎翔太投手(26)らが控えている。広島の過去、FAで9人の選手が移籍しており、昨オフの丸佳浩外野手(30)の巨人移籍に象徴されるようにチームの中心選手が流出するケースが続いている。丸に関してはリーグ3連覇、そしてMVPなど広島黄金期の象徴的存在として「高値」がついた形だが今後、広島からFA移籍を目論む選手はそうはいかないようだ。
在京球団関係者は「現状を見る限り、広島のFAを控える選手に、丸のようにチームの主力となるような選手は少ないでしょう。菊池はメジャー志向ですから国内移籍はないとして、会沢、野村を欲しがる球団はあるでしょうが、丸のような高額な金額を提示する球団は少ないと思います。今シーズン、不振の田中にいたっては手を挙げる球団があるかどうか。それすら疑わしい状態ですね。今後、チームの状態が戻らず、選手個人の成績が落ちれば評価に影響してきます。丸のような成功例は今後、出てこないのでは」と話す。
リーグ連覇中にはFA流出問題がさかんに取り上げられてきた広島だが、「普通」のチームになりつつある今、皮肉にもチーム状態に比例するように選手の評価も…。広島の球団史上、9ゲーム差からの逆転優勝はない。
(※引用元 J-CAST)