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2013年入団・田中広輔、高・大・社と名門で揉まれた実力派内野手

2020年2月11日

2013年入団・田中広輔、高・大・社と名門で揉まれた実力派内野手

梵英心、菊池涼介、堂林翔太と右の内野手が多い広島は、補強ポイントである左の内野手に即戦力候補を指名した。名門で揉まれた実力者の足跡を辿る。

社会人で磨いた守備

広島カープから3位指名を受けた田中広輔。東海大相模高、東海大、JR東日本と、アマチュア球界のトップクラスで心身を磨き、プロ入りの道を切り開いた。

右投げ左打ちでパンチ力のある俊足内野手。東海大相模高時代は通算38発を放ち、2年夏には大会タイとなる4アーチをマークした。気持ちを全面に押し出した野性味溢れるプレーヤーで、ワンプレーで流れを変える力を持っていた。JR東日本では打てる2番として、チャンスメークしてきた。

プロ入りという点でネックになっていたのが身長だった。現在は171センチ80キロ。高校時代は、「175センチ」とサバを読んでいたこともあるとか。裏を返せば、それだけ身長を気にしていたことになる。同期入社でオリックス1位指名を受けた191センチの吉田一将には、「10センチくれ」と冗談っぽく話すこともある。

「180センチあれば『大型ショート』と呼ばれたんですけどね」

井口資仁(ロッテ)そっくりの顔で、いたずらっぽく笑った。

--自分の武器はどこか。

この問いに、田中は「守備」を挙げた。足を使って、攻撃的に前に出られるフットワークに、守備範囲の広さ、球際の強さ。昨年12月にはBFAアジア選手権の代表に選ばれ、ショートとして活躍。攻守を連発し、最優秀守備賞を受賞した。

「社会人に来て、スローイングが一番よくなったと思います。それまではヒジが下がって、ボールを叩けなかったんですが、今のやり方に変えて、小さい動きで強いボールを放れるようになりました」

社会人入り後、握り替えたあとにすぐにボールを耳の横に持ってきて、早めにトップを作るようにした。

これには理由がある。臨時コーチで指導していた銚子利夫氏(元大洋)に完全否定されたからだ。

「足を使うのは褒めていただいたんですけど、それ以外は全否定…。悔しかったので、銚子さんに認めてもらえるように練習しました」

スローイングも、銚子氏のアドバイスのもと変えた。

「守備で意識しているのは、正面に入って、しっかりと股を割って捕ること。ジャンピングスローなど、派手なプレーは得意なほうなので、堅実なプレーにこだわりたいんです」

カープの本拠地は天然芝。人工芝に比べて、打球が失速しやすく、足を使った守備が求められる。磨き上げた守備がどこまで通用するか、楽しみである。

イヤイヤ進んだ社会人で飛躍

実は、社会人入りは望んだものではなかった。

「行きたくなかったんです、もうイヤイヤでした。高校でも大学でも、絶対にプロに行くと思ってやっていました。勝負は大学4年春のリーグ戦。ここで結果を出せればプロ、出せなければ社会人。東海大の横井(人輝)監督、早くから誘ってくださった堀井(哲也)監督との約束でした」

勝負の4年春、打率.146と沈み、プロの道は途絶えた。だが、この結果が田中に新たな世界を見せてくれることにもなった。

「4年秋は『自分の結果を気にせず、チームのためにやろう』と決めて、いい方向に出ました。1打席の結果に一喜一憂しなくなりました」

打率.375で初の首位打者を獲得し、10試合で自己最多の10盗塁。この結果が春に出ていれば、大卒でプロに入れていたかもしれない。モヤモヤが残った中で、大学野球を終えることになった。

シーズン終了後、JR東日本から練習参加の知らせが届いても、田中は行かなかった。この時に通っていたのは車の教習所だった。初めて練習に参加したのは12月に入ってから。抜群の施設とレベルの高い先輩たちのプレーを見て、決めたことがあった。

「2年でプロに行けなければ、プロはあきらめる」

プロを見据えた中でも、大学4年秋に抱いた「チームのために」という考えは継続した。それで好結果が生まれていたからだ。

「本来はガツガツとプレーするのが自分の姿だと思います。だからこそ、あえて周りのことを考えながらプレーをする。自分にはそれがちょうどいいのかもしれません」

高校時代から、「オレのプレーを見てくれ!」というオーラが漂っていた。社会人での田中は、いい意味で丸くなったように感じる。

高校、大学の同級生・菅野智之(巨人)はプロで一足早く活躍しているが焦りはない。

「僕はすべての段階で最高峰を経験することができました。特に社会人で2年間しっかりできたのが自信になっています」

プロでの目標は「小さくても、プロで活躍できる。小さい子に夢を与えられるようになりたい」。

社会人で自らのプレースタイルを築き上げた田中。自信を持って、プロの世界に挑戦する。

(※引用元 週刊野球太郎

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