即戦力ナンバーワン投手、新人王最有力候補と言われる広島ドラフト1位・森下(明大)が、初めてプロの洗礼。オープン戦最終戦のソフトバンク戦(15日=マツダスタジアム)で4回被安打7、5失点。この森下の本拠地KOは、V奪回を期す佐々岡広島の思わぬ落とし穴を暗示している。
この日まではオープン戦3試合に登板して通算被安打6、2失点と期待通りの結果を出していた森下。両リーグ1強と言われる3年連続日本一のソフトバンクにプロの洗礼を受けたで済めばいい。それも勉強だからだ。
が、打倒・巨人でV奪回を宣言している新生・佐々岡広島の意外な落とし穴の危険性もある。新型コロナウイルス伝染拡大のためにオープン戦は無観客試合だ。そうでなければ、この日の3年連続日本一・ソフトバンク相手の期待通りのドラフト1位・森下の登板でマツダスタジアムは大盛り上がりしたはずだ。
ところが、今季のペナントレースは3・20開幕が延期され、最短4・10、最長で4・24開幕。そして、同時にこれまでのスタンドでの熱狂的応援自粛が打ち出されている。
その影響をモロに受けるのは甲子園のトラ党と勘違いしそうだが、一番ダメージを受けるのがマツダスタジアムの赤ヘル党だ。リーグ3連覇の後に昨季、まさかの4年ぶりのBクラス転落4位。 それでも5年ぶりのV奪回を果たした巨人には14勝10敗1分と5年連続勝ち越している。その原動力は、カープ女子にも象徴されるマツダスタジアムでの赤ヘル党の熱狂的な応援にある。リーグ3連覇の際には、赤ヘルナインは異口同音にこう認めている。
「本当に12球団一の地元ファンの熱い声援のおかげです。ファンには感謝しかないです」と。実際に巨人ナインは敵地・マツダスタジアムに来ると、自分らがまな板の上のコイになり、勝てなくなる。赤ヘルナインのコイ党への感謝の念は外交辞令ではない。
ところが、今季は世界中で猛威を振るう、新型コロナウイルス伝染の拡大防止のために、日本野球機構(NPB)から12球団へ公式に熱狂的な声援自粛が打ち出されている。
巨人ナインからすれば、鬼門マツダスタジアム克服へ最高のアシストになるだろう。逆に赤ヘルナインからすれば、モチベーション低下は避けられない。
選抜大会中止、プロ野球オープン戦無観客試合、そして開幕戦の延期etcなど新型コロナウイルス伝染拡大を防止するために、様々な対応をしてきている日本野球界を考えれば、仕方のない熱狂的声援自粛だ。
が、原巨人に雪辱、V奪回を期す新生・佐々岡広島にとっては、全く予期せぬ落とし穴になりかねないのは事実だろう。この日のドラフト1位・森下の予期せぬKOがそれを暗示している恐れがある。(江尻良文)
(※引用元 夕刊フジ)