入団前から掲げていた「160キロ」が目前に迫っている。中村恭平はプロ9年目の昨季、自己最多を大幅に上回る43試合に登板し、0勝1敗12ホールド、防御率2.64を記録。後半はセットアッパーを任されるなど、飛躍の年になった。
直球はこれまでの自己最速を更新する156キロを計測。「(昨季は)平均して150キロくらい出ていた。もうちょっと速くなる余地はある」と大台到達を狙う。
最速153キロ左腕として、富士大から2011年にドラフト2位で入団。その時代から「160キロ投げたい」と豪語してきた。18年以前は13年の12試合登板が最多で、二軍で多くの時間を過ごしてきた苦労人。
「結果を出すには進化しないといけない」と、長所でもあった直球に磨きをかけるべく、18年オフから上半身のトレーニングを重点的に行うようになり、球速の向上につなげたという。
「見栄え」も球速アップのきっかけの一つだ。「見栄え良く鍛えていたら、バランス良く鍛えられた」。アームカールで腕の筋肉を鍛え上げ、ラットプルダウンやデッドリフトで背筋を増強させた。
「『背中がでかくなった』とみんなに言われました。背中のトレーニングが一番効果が出ていると思います」と手応えを口にした。
大きな期待を背負って始まった今季だったが、思わぬアクシデントが左腕を襲った。
2月の春季キャンプ終盤に、「右腹直筋損傷」で離脱。リハビリ生活を余儀なくされた。既にブルペン投球を再開しており、完全復帰へ向けて順調に歩みを進めている。大志を抱くプロ10年目左腕が放つ剛球に、今季は注目だ。(写真=BBM)
(※引用元 週刊ベースボール)