広島・堂林翔太内野手(28)が両リーグトップの打率4割1分4厘と目覚ましい活躍で、三塁のレギュラーを不動のものとしつつある。高卒3年目に全試合出場で14本塁打を放ち「鯉のプリンス」と呼ばれたが、その後は成績が右肩下がり。崖っぷちに追い込まれていた男の「11年目の覚醒」は本物か。その要因に迫る。
プライドをかなぐり捨てての出発だった。堂林は今年1月、3学年後輩の鈴木誠也外野手(25)に弟子入りする形で、宮崎・串間市で合同自主トレを行った。19年2月の沖縄キャンプでも誠也に指導を請い「生きた教材。自分が良くなるためなら(鈴木誠を)引っ張ってでも(打撃を)見てもらわないと」と語っていた。
同じ右のスラッガーとして誠也からの金言は「右中間がセンターと思って打席に入っていけばいい」だった。堂林の打撃フォームは、相手投手から背番号7がはっきり見えるほど上体をひねって構える。誠也の分析によると、そこからさらにひねってトップの位置にバットを持っていくため、右中間方向が普通の打者のセンター返しになるという。
この右中間への強い意識が「変身」の要因となった。今季の打球方向のデータにもしっかり表れている。今季の24安打(本塁打含む)の打球方向を見ると、センターから右方向への打球が13安打(内野安打を除く)と半分以上だ。「自分のバロメーターです」と、中堅から右方向への打球が好調を支えている。
広角打法は追い込まれてからの粘りにも結びついている。2ストライク以降の打率は、リーグトップの鈴木誠の打率3割9分4厘(3本塁打)に続く、2位の打率3割6分4厘(2本塁打)。特にフルカウントでは11打席で5安打1四球の打率5割の好成績を残している。12年のデビュー年に150三振を喫したような追い込まれるともろい姿はない。
得点圏打率も5割2分6厘で、満塁では4打数3安打の打率7割5分。今季は、しぶとさと勝負強さを身につけた。
(※引用元 スポーツ報知)