開幕から1カ月半が経過し、広島は大方の予想に反して最下位に低迷する。主要因は投手陣。抑えを含む救援陣の不安定さが1点差試合の0勝6敗に表れる。この現状をどう見ているのか、OBで日米通算203勝を誇る黒田博樹氏(45)を電話取材した。苦境打破と投手再生へ、同氏は「鈴木誠也をキャプテンに攻撃的な野球を」と緊急提言した。(構成・江尾卓也)
《スポニチ独占インタビュー》
――ここまでのカープの戦いをどう見る?
「ファンの皆さんと同じで、チーム力を考えれば今の順位はちょっと予想外ですね」
――チーム防御率(4・46)が示す通り、投手陣が苦しい。とりわけ中継ぎ、抑え。ただ、勝ちパターンの整備には時間がかかる。
「当然そうです」
――何か打開策は?
「リリーバーが投げながら技術を上げるのは難しい。でも、メンタル面から技術が向上することは多々ある。そう考えると、僕の個人的な意見ですが、今できるのは攻撃的な野球を展開し、投手が打者だけに集中しやすい環境をつくることかな…と。幸いにチーム打率(・281)がリーグトップの打線を持っていますから」
――なるほど。
「チーム防御率は4点台半ば。単純に考えれば5点取らないと勝てない。ならば、持ち前の攻撃力や得点力でカバーする。少々打たれながらでも経験を積むことで、若い投手たちの中から救世主になる人材が台頭するかもしれません」
――今は打線が投手陣を助ける時だ…と。
「後ろの整備と言っても簡単にはできないので、現時点で取れる手段はそれかな…と。3連覇の時も他球団に負けない攻撃力がありましたよね。失点しても逆転する。1点、2点よりもビッグイニング。そういう試合を重ねることで、リリーバーは余裕を持って投げられると思いますし、結果を積み重ねれば自信につながり、力になると思います」
――打線では鈴木誠がチームで唯一全試合に出場し、主砲の働き。
「誠也がキャプテンという意識を持って引っ張れば、チームの雰囲気は変わるんじゃないですか? 侍ジャパンで4番を務め、名実ともにチームの顔になった。明るいキャラクターも持っている。部外者が見た勝手な意見ですけど、投打に若いチームなので、彼がキャプテンとして引っ張るのも現状打破には面白いと思います」
――他球団には若いキャプテンが多数いる。
「カープはキャプテン制を敷いていませんが、他球団は若い世代がそのポストで引っ張っていますからね」
――加えて経験のある選手の支えも必要。
「もちろんです。誠也を、主力で経験のあるアツ(会沢)やキク(菊池涼)、(田中)広輔らがフォローし、バックアップする。それが現時点でベストではないか…と個人的には思いますね。彼らは投手への気配りができるし、僕自身も現役時代はマウンドで彼らにたくさん助けてもらいましたから」
――巻き返しに期待。
「もちろん。誠也を中心とした持ち前の攻撃力と、佐々岡監督が掲げる一体感を持って戦っていけば、投手力の整備につながり、現状打破に結びつくのでは…と、個人的に期待しています」
(※引用元 スポニチアネックス)