
巨人の戸郷翔征投手が、8月26日の広島戦(マツダスタジアム)で珍しい姿を見せた。6回無死一、二塁の大ピンチ。スタンドから鳴り響く広島のチャンステーマに合わせ、戸郷は無意識のうちに歌を口ずさんでいたのだ。
本人は「応援歌は僕、どこの球団も好きなので歌ってしまいましたけど、しっかりリラックスしながらできたのかなと思います」と笑顔を見せ振り返った。結果、その場はモンテロを三振、末包昇大を遊ゴロ併殺に仕留め、見事に切り抜けた。
しかし、最終的には7回9安打3失点で自己ワーストタイの8敗目を喫した戸郷に、テレビ解説をしていた黒田博樹氏は「投手は打者の反応にもっと注意しなければならない」と繰り返し指摘。捕手のサインにただ頷くだけで、相手の狙いや揺さぶりにどう対応するかを考える余裕がないようでは、リズムを保つための“歌”も空しく響く。
戸郷の課題は明白だ。ストレート、スライダー、フォークの3球種に依存する投球は、相手打線にとって的を絞りやすい。この日も7回、中村奨成に147キロを軽打され、追加点を許している。今季も勝負どころで痛打されるケースが目立ち、投球のバリエーション不足が露呈しているといえる。
阿部慎之助監督も「真っすぐ、フォーク、スライダーだけでは厳しい」とシーズン序盤から強調し、新たな球種の習得を求めてきた。だが戸郷自身は「持ち球を極める」ことに重きを置き、挑戦には慎重だ。昨季12勝右腕としての自信の表れとも言えるが、いま最も求められているのは柔軟性なのかもしれない。
広島の応援歌を口ずさみ一時のピンチを脱した戸郷。しかし、黒田氏の言葉を借りれば、投手に必要なのは歌ではなく新しい武器。まずはプライドを捨てることが、戸郷の今後の野球人生を握るカギとなりそうだが…。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)