
「暴れて困っている」
今年1月27日、指定薬物「エトミデート」を含有する通称「ゾンビたばこ」を使用したとして、医薬品医療機器法違反(指定薬物の使用)の容疑で逮捕されたのは、広島東洋カープの内野手だった羽月隆太郎被告(25歳)だ。2月17日に起訴され、保釈保証金300万円で保釈。広島球団は2月24日、同被告との契約解除を発表した。
広島の関係者によれば、事の発端は昨年12月16日の出来事であった。夜、羽月被告が自宅で大声を出し、近所に響くほど暴れて興奮したため、家族が110番通報した。駆けつけた警察官に対し、家族は「暴れて困っている、手の施しようがない」と訴えたという。
事情に詳しい広島の関係者はこう語る。
「通報前も、家で大暴れすることが何度もあった。羽月被告の家族や知人は、何か変なものをやっているのが原因ではないかと感じていた。12月16日の暴れ方は半端ではなく、仕方なしに110番通報したそうだ」
広島県警が室内を調べたところ、エトミデートや吸引用のカートリッジが発見された。使用中とみられるものも含まれており、羽月被告はそのまま警察署へ連行された。
効き目は1時間もないが
当初、羽月選手は使用を否認。尿検査の実施を条件に一旦は釈放されたが、その後の検査で薬物の使用が確認されたため、逮捕・起訴に至った。逮捕時も被告は徹底して否認を続けていたという。
「弁護士を立てて、徹底抗戦で戦うと言っていた。ただ、羽月被告が『怪しい』という噂はずいぶん前から伝わっており、『やっぱり』というのがチーム全体の感じだった」
と前出の関係者は明かす。
その後、県警の取り調べに対し、羽月被告は否認から転じて容疑を認めた。捜査関係者は「羽月被告のゾンビたばこの使用は、最近始まったものではないはず」と指摘している。
「ゾンビたばこ」と呼ばれるエトミデートは、昨年5月に指定薬物となり、製造、輸入、販売、所持、使用などが全面的に禁止された。捜査関係者によれば、使用後15分から30分ほど強烈な効き目があるという。
「頭が空っぽになってゾンビのように動き回ることから、ゾンビたばこと呼ばれるようになったそうだ。ゾンビたばこを使用中の人物に対応したことがあるが、泥酔したような感じでふらふらして、意識がほとんどなかった。
効き目の強いゾンビたばこを服用した人物に対応したことがあるが、痙攣や震えが激しく119番で運ばれていった。その一方で、1時間も経たないうちに効き目は薄れてしまうので、また繰り返し使用することで常習的になる」(捜査関係者)
県警は逮捕後、マツダスタジアムなどにも家宅捜索に入った。理由は「昨年5月まで違法ではなかったゾンビたばこだが、広島では羽月被告以外にも複数の人物が、それ以降も使用していたとの情報があったから」だという。しかし、結果として他の使用者は確認されなかった。
「同情する者はいない」
羽月選手は、俊足と広い守備範囲を武器に人気が沸騰、将来を嘱望されていた。昨年も17盗塁を記録し、足のスペシャリストとして活躍したが、チーム内での評価は厳しかった。
ある選手は羽月選手の素顔について、こう打ち明ける。
「チームでは完全に浮いていましたね。先輩やコーチに指導を受けて、試合でそれなりの結果を出す。当然、指導してもらった先輩やコーチに感謝すべきなんですがが、羽月被告は『あいつは教え方が下手』などと平気で人の悪口を吹聴していた。まともに羽月被告と話す選手は数人程度でした。
ゾンビたばこのことは知らなかったが、『変なことをやって家族が困っている』との話は広がっていた。こういう結果になってチームの一人として恥ずかしいし、悲しいですね。ただ、羽月被告に同情する者はチームにはいません」
広島球団は2月25日、「当球団所属の羽月隆太郎選手が逮捕・起訴される事態となった件を受け、事実確認し極めて重大な事案であると受け止め、昨日2月24日に羽月隆太郎選手との選手契約を解除いたしました。ファンの皆さまには信頼を大きく損なう事態となりましたことを深くお詫び申し上げます。
また、スポンサーや関係者、広島東洋カープを応援していただいているすべての方に多大なるご心配とご迷惑をおかけしました。本件を厳粛に受け止め、再発防止策の強化に取り組み、信頼回復に努めてまいります」とのコメントを発表した。
羽月選手の今後については刑事裁判で結論が出される。プロ野球選手の薬物使用という前代未聞の事件。法廷でどのように語るのか、注目が集まっている。
(※引用元 現代ビジネス)