
「来年は日本に帰りたい」。テレビ東京の番組でそう口にした一言に、多くのファンが胸を高鳴らせた。かつて広島カープで背番号18を背負い、NPBを代表するエースだった前田健太が、再び日本球界に戻る意向を示したことで、注目は一気に高まっている。
前田が思い描くのは、やはり「日米通算200勝」という夢の舞台だろう。広島で97勝を積み上げ、渡米後はドジャース、ツインズで68勝を記録し、日米通算165勝に到達している。あと35勝で名球会入りとなる200勝に手が届く計算だ。もしそれを古巣・広島で成し遂げることができれば、球団にとっても、そしてファンにとっても最高の物語となる。
しかし来季で38歳を迎える前田にとって、先発ローテーションを守るハードルは決して低くない。トミー・ジョン手術の影響や年齢を考えれば、若手が台頭する先発陣に割って入るのは容易ではない。そこでにわかに浮上しているのが「ストッパー転向説」である。
メジャー時代にはリリーフでの登板経験も豊富で、短いイニングなら球威が落ちにくく、スライダーやスプリットを武器に試合を締めることが可能だ。セ・リーグの現役打者で前田のボールを体感している選手は限られ、抑えとして2~3年通用するという見方も少なくない。江夏豊が抑えに転向して野球界に革命を起こし、佐々岡真司や大野豊が「100勝100セーブ」を成し遂げた例を思えば、前田の抑え起用は十分現実味がある。肩の消耗が比較的少ない今だからこそ、その選択肢が真剣に議論されているのだ。
一方で、先発陣が手薄な球団が動く可能性もある。なかでもヤクルトは、過去10年で規定投球回に到達した日本人投手は小川泰弘や石川雅規ら数えるほどしかおらず、慢性的な投手不足が課題となっている。そこに経験豊富な前田が加われば、即戦力として大きな補強になるのは間違いない。
問題は契約条件だ。広島の主力投手は森下暢仁が推定1.65億円、床田寛樹が1.5億円、栗林良吏が1.6億円と、年俸1.5億円前後が中心ラインになっている(金額は推定)。資金力に限界のある広島にとって大幅な上積みは容易ではないが、巨人が田中将大に支払った推定1.6億円+出来高の単年契約を考えれば、前田も同水準が現実的とみられる。古巣復帰を優先するのか、高額条件を提示できる他球団に活路を求めるのか、去就はストーブリーグ最大の焦点だ。
ファンコミュニティサイトでは「広島で200勝を」「抑えマエケンで日本一へ」と賛否が分かれ、OBの間でも意見が割れている。200勝という夢を追うのか、それとも抑えとして新境地を切り開くのか。2025年オフ、野球ファンの視線は前田の決断に注がれている。(ケン高田)
(※引用元 Asagei plus)