巨人と読売新聞社は28日、東京・大手町で記者会見を開き、2019年に結んだスポーツ動画配信サービス「DAZN(ダゾーン)」との包括提携を10年間延長すると発表した。
今季から新球場で開催されるイースタン・リーグ公式戦や、2月1日に始まる春季キャンプなどが新たに配信される一方で、従来通り「広島東洋カープ主催及びその他一部試合を除く」との注記が。広島はDAZNと配信契約をしておらず、他球団ファンは広島主催の試合だけ視聴できない困った状態が続いている。巨人は昨季も9月28日に敵地の広島戦でリーグ優勝を決めたため、DAZNに加入していても肝心の場面を見られないという痛恨の事態に陥った。
広島戦が配信に加わる見通しについて、DAZNジャパンの笹本裕CEOは「交渉といいますか、企業努力はしつつ、すべての野球を見ていただけるように。この10年の中でご視聴できれば」と話すにとどめた。パ・リーグ6球団が共同で立ち上げた「パ・リーグTV」が、2010年から全試合をネット配信して新たなファン層の掘り起こしやペナントレースの盛り上がりを支えているのに対し、セはいまだに足並みがそろわない状況が続いている。
巨人・山口寿一オーナー(読売新聞グループ本社代表取締役社長)は「セ・リーグとパ・リーグで、ここまで歩んできた歴史が違っているので。セ・リーグにおいては各球団が個別にテレビ局と放映権の契約をして、球団の経営を支えてきたいきさつがありまして」と説明。巨人は日本テレビ、阪神、中日、広島は地元テレビ局との結びつきが昔から強い。
「今のところセ・リーグにおいては、テレビ中継が球団経営を支えている。このビジネスモデルが機能していると私は見ている。セ・リーグの中でパ・リーグのように放映権を一括して管理する話は、まったくどこからも出てきてない。現状は変わらず進んでいくのではないか」と山口オーナー。野球人口の危機が叫ばれながら、テレビを見る習慣がない若年層にも届く「セ・リーグTV」、ひいては「NPBTV」の実現を急ぐ気配は感じられない。(塚沢健太郎)
(※引用元 夕刊フジ)